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  • 執筆者の写真高森明勅

昭和大嘗祭での斎田行事

天皇の皇位継承に伴う大嘗祭。 天皇の数ある祭祀の中でも最も重大だ。 その大嘗祭で最も大切な意味を持つのが、 悠紀(ゆき)・主基(すき)両地方の農民が献上する新穀。 その新穀を献上する特別の田を「斎田」と呼ぶ。

斎田は当然、“清らかさ”が求められる。

昭和天皇の大嘗祭での様子は『昭和大礼要録』(昭和6年) によって知ることが出来る。 そこには「斎田の奉仕は弥(いや)が上にも 清浄を期せざるべからざるを以て、其(そ)の地方に在(あ)りては 斎田の修祓(しゅばつ=祓い)を最初とし、 新穀供納の完了に至るまでの間、幾多の修祓・祭儀を執行せられしが、 その主たるものを斎田修祓式及(および)田植(たうえ)式とす」と。

すなわち、天皇の神聖な大嘗祭に新穀を献上する斎田は 「清浄」であるべきで、その為に「幾多の修祓・祭儀」が 執行され、それらの中でも「主たるもの」は、 「田植式」とそれに先立つ「斎田修祓式」の2つだった。

ところが、「5月1日」のご即位では、 4月に田植えを行う地域では、どちらも間に合わない。

だからと言って、それらの地域を予め候補から排除するのも、 「国民統合の象徴」たる天皇のお立場に相応しくない。

かと言って、斎田の“清浄”を軽視してよいはずもない。

安倍政権は、天皇の一代に一度限りの大嘗祭を、 厳粛かつ恙(つつが)無くに行って戴く為に、 万全を期すという考え方は、爪の先ほどもないのか。

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