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皇位継承問題の回顧=愛子天皇待望論の高まりと政治の迷走

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分
皇位継承問題の回顧=愛子天皇待望論の高まりと政治の迷走

令和7年における皇位継承問題を巡る経緯を振り返ると、差し当たり以下の諸点が目に止まる。

①敬宮殿下のご公務による国内外へのお出ましの機会が増え(初めての晩餐会、5府県へのご訪問、ラオスへの初めての海外公式訪問など)、殿下の輝きと存在感は更に大きくなり、国民の間では敬宮殿下こそ次代の天皇に最も相応しいという気運が一層高まった。

②秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下の成年式が敢えて19歳になってから挙げられ(9月6日)、それに伴う祝宴も宮殿を避けて民間の施設で行われる(同6日·10日)など、皇嗣たる秋篠宮殿下ご自身が直系を尊重される姿勢を示された。

③西村泰彦·前宮内庁長官も黒田武一郎·現宮内庁長官も女性皇族が婚姻後も皇籍にとどまることを可能にする皇室典範の改正が遅れていることに率直に苦言を呈し、更に国民の多くが望んでいる形で皇位継承問題の解決が図られるべきことを訴えた(12月25日など)。それらは勿論、皇室のご意向を体したものと受け取る他ない。

④新聞として最大部数を誇る読売新聞社が、社として提言を発表し(5月15日付)、女性天皇·女系天皇の可能性も排除すべきないことを明言、週刊誌で最大部数の『週刊文春』も「愛子天皇」待望論をトップ記事で特集するなど(11月25日号)、皇位継承問題に対する多くのメディアの健全なスタンスがより明確化した。

⑤その一方で、皇室典範の改正に直接の責任を負うべき政府·国会においては、「立法府の総意」形成を目指す全体会議の膠着状態を打開すべく、水面下で協議を重ねていた麻生太郎·自民党副総裁と野田佳彦·立憲民主党代表が、衆院正副議長も同席する場で一旦合意に達したものの、その後、山崎重孝·内閣官房参与の介入によって、自民党サイドがちゃぶ台返しをした(6月5日)

という顚末があり、更に小林鷹之·自民党政調会長が衆院正副議長らの頭越しに不明朗な動きを見せる(12月2日)など、結果としては事態を1ミリも前進させることができなかったばかりか、

大きな不信感を残し、今後の展望を不透明なものにしている。

⑥令和8年には、愛子天皇待望論はより高まることが予想される。

だが逆に、そのことが政府·与党を追い詰め、強引に乱暴な決着に向けて走り出す危険性も否定できない。しかし与野党を問わず、現行の「男系男子」限定ルールのままでは、皇室それ自体が立ち行かなくなることを理解できている政治家も、絶無ではないだろう。

民意の高まりやメディアの健全な報道姿勢は、彼らに勇気を与える。

今後の取り組みいかんでは、一挙に全面解決には至らなくても、そこに繋がる形で前進を勝ち取ることは、必ずしも不可能ではないはずだ。

皆さま、どうぞ佳いお年を。

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