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  • 執筆者の写真高森明勅

日本とイタリア、憲法比較

現在の国際法では「武力行使」は一般的に違法化されている。 だから、憲法9条1項は別に“特異”な規定ではない。

例えば、イタリア共和国憲法(1948年施行)にこうある。

「イタリアは他の人民の自由を侵害する手段および 国際紛争を解決する方法としての戦争を否認する」(11条)と。 これはわが国の憲法の9条1項の趣旨とほぼ重なる。


しかし、同憲法では、この条文の一方で、以下のような条文もある。

「祖国の防衛は神聖な義務である」(52条1項) 「兵役は義務であり、その制限と方法は法律で定める」(同2項) 「軍隊の組織は共和国の民主的精神に基づくものとする」(同3項) 従って、わが国の憲法9条2項以下に、

このような規定があっても、整合性に何ら不都合は生じない。 問題なのは、9条2項の「戦力不保持」規定。 これによって軍隊を保持できなくなる。

なお「交戦権」は、国家が戦争を行う権利という意味でも、 交戦国の諸権利という意味でも、共に国際法で認められない。 よって同項での交戦権の否認は、 単に国際法の要請を“確認”したに過ぎず、 1項と同様、国防上の障害にはならない。

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