top of page

世襲の原則、皇太子と傍系の皇嗣の違いを巡る法制局の見解

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 10月12日
  • 読了時間: 2分
世襲の原則、皇太子と傍系の皇嗣の違いを巡る法制局の見解

直系の皇嗣=皇太子·皇太孫と傍系の皇嗣の違いについては、これまでもしばしば指摘してきた。


例えば、摂政に当たる順位が優先する皇族が、未成年とか心身の重患、重大な事故などの事情の為に、他の皇族が摂政に就任していた場合、その事情が解消されても、皇太子·皇太孫を除き、摂政は交代しない(皇室典範第19条)。


傍系の皇嗣でも、一般の皇族と同じく交代しない。 摂政は天皇の国事行為を全面的、継続的に代行する極めて重い立場だ。

その点を考慮すると、この違いが大きな意味を持つ。

何故このような違いを設けたのか。


皇室典範を制定する際の法制局(内閣法制局の前身)の説明がある(「皇室典範案に関する想定問答」)。「皇位継承は皇太子又は皇太孫においてなされることが世襲の原則であるべきで、その意味で皇太子又は皇太孫は他の皇族とは異なる地位にある。…他の皇族の皇位継承或は摂政の順序については、その間で比較的近親者を優先させるに過ぎないのであつて…かかる皇族間の順位の前後は左程(さほど)重要な問題でない。これが皇太子及び皇太孫以外の皇嗣につき特例を認めなかつた理由である」


これは注目すべき指摘だろう。


先ず、皇位の“世襲”継承は親→子→孫という直系継承こそが本来の「原則」であること(皇太孫は皇太子が不在の時の皇嗣たる皇孫。皇室典範第8条)。


次に、傍系の皇嗣の場合は「比較的近親者を優先させるに過ぎない」「順位の前後は左程重要な問題でない」とされていること。これらを踏まえると、現在の秋篠宮殿下→悠仁親王殿下の皇位継承順序を固定化すべき確たる理由はないと言える。


そもそも秋篠宮殿下ご自身が、即位するおつもりはないとのご意思を示しておられるし、不測の事態を除けば年齢的にも、実際に即位されることは想定しにくい。

 普通に考えると、直系の皇太子たるべき敬宮殿下が、「女性だから」というだけの理由でその地位を与えられていない現状の方がむしろ異常、との結論に達するはずだ。



▼追記

プレジデントオンラインの連載「高森明勅の皇室ウォッチ」

9月10日公開記事が関心を集め、9月BEST記事として10月11日より再掲載




bottom of page