学者とそうでない者の違いは何か。
時折、こんな質問を受ける。
なので一応、私なりの説明をしておこう。
恐らく理念型としては、次の4つの条件を
クリアしていれば学者で、そうでなければ非学者だろう。
〔1〕学問上の研究テーマを持っている。
〔2〕そのテーマについて、これまで積み重ねられて
来た研究成果を熟知している(2―1)。
更に、それらを評価・分類して、
系統的な見通しを立てている(2―2)。
〔3〕自らの研究テーマを解明する為に必要な
(客観的で検証可能な)学問的手続きを弁(わきま)えている(3―1)。
更に、その手順通りに研究を進める能力を備えている(3―2)。
〔4〕実際にそうした手順を踏んだ研究業績がある。
例えば、ジャーナリストの池上彰氏。
名城大学教授、東京工業大学特命教授、
東京大学客員教授等々の肩書きを持ち、
多数の著書を刊行し、幅広い知識をお持ちのようだ。
しかし、彼が学者であるかどうか。
それは、上記の4条件をクリアしているか
否かによって、判断すべきだろう。
一方、駐車場の誘導係りのアルバイトをしていても、
屋台でタコ焼き売りをしていても(どちらも私自身が若き日に体験しているが)、
先の条件をクリアしていれば、紛れもなく学者だ(いわゆる評論と学術論文の
違いも、ここから類推できるだろう)。
勿論、学者か非学者かは、単純な優劣の問題ではない。
そこを短絡してはならない。
例えば、ジャーナリストが学者である必要がないのは、
学者がジャーナリストである必要がないのと同様だろう。