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旧宮家養子制度の目的は女性·女系天皇=皇位継承安定化の妨害

執筆者の写真: 高森明勅
高森明勅
9月3日
読了時間: 5分
旧宮家養子制度の目的は女性·女系天皇=皇位継承安定化の妨害

先頃の皇室典範の改正によって、旧宮家系民間男性を養子縁組によって皇族とする制度が、新しく設けられた。これは一体、何を目的としているのか。


先ず、長年の懸案であり、最も優先すべき重要課題である「皇位継承の安定化」を目的とするものでないことは、明らかだ。 


典範改正への議論の土台となった有識者会議報告書では、本来の課題であったはずの皇位継承安定化確保策の検討に対して、「次代以降の皇位の継承について具体的に議論することは機が熟しておらず」と見当外れな理由付けで、“先送り”を明言している。


更に、典範改正に際しての附帯決議でも、「安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き続き、検討する」とある。これは、養子制度が安定的な皇位継承を確保する為の方策で“ない”ことを示す。

では、政府が繰り返し説明して来たように「皇族数の確保」が目的なのか。


しかし養子制度の場合、「養子」が多くの国民から“歓迎されない”状況下で、対象となる賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家から自発的に養子となろうとする人物が現れるか、どうか。しかもその人物が、皇室を支える一員として相応しいか、どうか。


又、天皇陛下も上皇陛下も秋篠宮殿下も、皇室に民間人の養子を迎えることに違和感を抱いておられることが既に知られている。そんな中で、常陸宮家、三笠宮寛仁親王妃家、三笠宮家、高円宮家から自ら「養親」になろうとされる皇族が現れるか、どうか。かなり不透明だ。


一方、皇室には未婚の内親王·女王方が現におられる。天皇皇后両陛下のご長女の敬宮殿下、秋篠宮家の佳子内親王殿下、三笠宮家の彬子女王殿下と瑶子女王殿下、高円宮家の承子女王殿下だ。 

その方々が“男性皇族と同じく”、婚姻後も皇族の身分に留まられ、その配偶者やお子さまも皇族とする制度を設ければ、こちらの方が遥かに皇族数の確保に寄与するはずだ。


従って、政府が本気で「皇族数の確保」を願っているなら当然、後者の制度を優先的に採用したに違いない。ところが、後者の内親王·女王についてだけ、配偶者とお子さまは国民(=夫婦も親子も身分が異なる)という近代以降、皇室にも国民にも全く類例のない「異例の家族」を強制する。そのような奇妙な制度を創設した。


麻生太郎自民党副総裁などは、これによって内親王·女王方がご結婚しやすくなる、などと述べていた。だが、普通に考えるとむしろ逆だろう。

同じ日本人同士の結婚なのに、夫婦も親子も身分が違う家族なんて、現代の日本において誰も想像できない。だからご本人もご結婚相手も、二の足を踏むことに繋がりかねない。


いずれにせよ、政府は未婚の女性皇族もご結婚を巡り男性皇族と“同じルール”にするという、皇族数確保へのより常識的で着実な方策を捨てて、養子制度という無謀で不確実性の高い選択を、敢えて行った。

これは、政府が理性を全く失ったのでなければ、本当の目的は皇族数の確保ではなく、別にあったと考えるしかない。それは何か。


今回の典範改正に対して、例えば産経新聞は1面トップ記事の見出しを「改正皇室典範 成立 /男系継承を堅持」としていた(7月18日付)。養子制度推進派=男系固執派の本音がよく表れている。他にも「男系男子は守られた」などという反応をいくつも見かけた。

皇族数の確保よりも、伝統でもない明治以来の(側室制度を前提とする)「男系男子」の維持。それこそが、養子制度の真の目的だった。


そう考えると全てツジツマが合う。

「男系継承」「男系男子」の維持とは、言い換えると女性天皇·女系天皇の排除に他ならない。


結局、一般国民を養子縁組によって皇族にするという、歴史上全く前例が無く、皇室と民間の厳格な区別を重んじて来た伝統を破壊する養子制度は、専ら女性天皇·女系天皇を阻止することを目的として設けられた、と結論付けることができる。


しかし、次世代の皇位継承資格者がお一方しかおられないという、目の前の「皇室の危機」をもたらしているのは、何か。それは今やリヒテンシュタインすら廃棄して、世界で唯一(!)の欠陥ルールになってしまった、“一夫一婦制(皇室典範第6条)なのに男系男子限定(同第1条)”(しかも少子化)という、現在の皇室典範のミスマッチな構造的な欠陥だ。


その欠陥を解消するには女性天皇·女系天皇を認める(典範第1条の改正)しかない。だから養子制度は逆に、その危機克服への努力を“妨げる”ことを目的として、新しく設けられたことになる。


ならば差し当たり、典範改正で新設された養子制度を無効化(!!)することが、皇位継承問題解決への大切な取り組みと言える。


無効化の為には何をすべきか。養子が皇室からも国民からも誰からも“歓迎されない”事実が、旧宮家系の当事者も含めて広く周知徹底され、賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家から無理やり養子を名乗り出させるような動きを、確実に阻止することが第一歩だろう。


■追記

①8月25日、「週刊女性」(9月8日·15日合併号)にコメント掲載。

②8月29日に予定されていた東京新聞記者·望月衣塑子氏のYouTube番組への出演が9月5日に変更された。

③「Smart FLASH」のインタビュー記事が8月31日に配信された。

④「AERA DIGITAL」のインタビュー記事は今週中か遅くとも週明けに配信予定。

⑤プレジデントオンラインの昨年3月13日及び今年の4月25日に配信された私の記事が、前者は「天皇の資質3選」、後者は「揺れる皇室3選」という、共に9月6日公開のまとめ記事の中に再掲載される。



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