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秋篠宮殿下「皇族の数が少ないのは悪いことではない」の真意

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 6 時間前
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秋篠宮殿下「皇族の数が少ないのは悪いことではない」の真意

平成21年の秋篠宮殿下のお誕生日に際しての

記者会見(同年11月25日)で、次のようなご発言があった。


「これはまた、全く別の視点になりますけれども、皇族の数が今後減るということについてですけれども、これは確かに今まで皇族が行ってきたいろいろな仕事、それから役割が、だんだんそれを担う人が少なくなるということはありますけれども、国費負担という点から見ますと、皇族の数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」


これは少し意表をつくご発言だった。

そのご真意を測りかねた人も多かったはずだ。

しかし、この年の3月(?)に当時の麻生太郎首相が内奏した際に、水面下で画策されていた旧宮家養子案の為の皇室典範改正について申し上げたところ、「(上皇陛下が)快く思(おぼし)召されなかったため、典範改正を見送ることにした」という(竹田恒泰氏ほか『なぜ女系天皇で日本が亡ぶのか』64ページ)。


但し、同年で最初の首相による内奏は4月21日なので、上記著書に“3月”の出来事としているは内々の非公式な打診が行われたか、日付の間違いかのどちらかだろう(麻生氏の首相在任期間はは平成20年9月24日~同21年9月16日まで)。


当時の事務担当の官房副長官だった漆間(うるま)巌氏が、陛下のご意向を理由として養子案をはねつけた。これに対して、竹田氏は当時ご存命だった寛仁親王→三笠宮(崇仁親王)を介して、上皇陛下(当時は天皇)から「皇位継承の話が出たことはない」とのお答えを確認したとして、漆間氏の「虚偽」と決め付けた。


しかし、養子案は今回の典範改正でも「皇位継承」問題とは切離して議論された。皇位継承について「話が出たことはない」としても、養子案への拒絶のご意向を疑う理由にはならない。そもそも、漆間氏が虚偽によって上皇陛下のお考えをねじ曲げるなどとは、全く想像し難い。何より、そんな虚偽を陛下ご自身がお許しになるはずがない。


以上の経緯を念頭に置くと、同年11月の秋篠宮殿下のご発言の意図は明らかだろう。皇族数が減少しているからという理由で、男系の血縁では赤の他人であり、既に世代の交代も進み、皇室の大切な精神·気風を将来に受け継ぐ上でも大いに懸念がある、養子案のような邪道の典範改正に踏み込むぐらいなら、「皇族数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」と。


この翌年のお誕生日を控えた記者会見(平成22年2月19日)で、天皇陛下(当時は皇太子)は次のようにおっしゃっていた。


「将来の皇室の在り方についての私の考え方は…その時代時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方もその時代時代によって変わってきていると思います。過去から様々なことをまなびながら、将来の皇室の在り方を追い求めていきたいと考えています」


「時代時代で新しい風が吹くように」とのおことばから、養子案のような ひたすら後ろ向きで、過去にばかりに囚われた発想とは、対極にあるお考えであることは明らかだろう。

さらに、先の秋篠宮殿下のお誕生日記者会見に先立って、上皇陛下のご即位20年に際しての記者会見が行われた(平成21年11月6日)。

上皇陛下はそこで次のようにおっしゃっていた。


「皇位の継承という点で、皇室の現状については、質問のとおりだと思います(質問=「皇族方の数が非常に少なくなり、皇位の安定的継承が難しくなる可能性がある」)。皇位継承の制度にかかわることについては、国会の議論にゆだねるべきであると思いますが、将来の皇室の在り方については、皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要と思います」


このおことばも、すでに養子案をはねつけられた上でのものであった。


ここに謹んで掲げさせて戴いた天皇陛下、上皇陛下、秋篠宮殿下のおことばは、心ある国民ならかねて各自の胸にとどめているはずだ。しかし前提となる事実として、麻生内閣における養子案策動とその挫折という出来事を踏まえると、そのお気持ちが一層深く理解できるだろう。


なお養子案に対する皇室の方々のお考えについては先頃、以下の報道があった。

「複数の宮内庁関係者によると、『21年(令和3年)からの議論で突如、男系維持の主張に偏った養子案が有力な方策となり、(天皇)陛下は違和感を覚えられた』という」(読売新聞7月18日付)


「元参与が語る。『上皇さまは、常に国民に寄り添い、相互に理解しあう関係があってこそ、象徴天皇の地位に立てるという信念をお持ちだった。戦後80年近く一般国民だったのに、男系男子の血筋を理由に旧宮家出身者を皇族にする養子制度は、敗戦や大震災の苦難を国民と共に乗り越えてきた天皇家の歩みを否定するものだ』」(同)


「複数の宮内庁関係者への取材によれば、天皇家側にとって、皇室に養子を受け入れることは想定されていなかった。…『旧宮家は俎上に上らないとの認識』(小泉政権当時の宮内庁幹部)だった」(朝日新聞8月18日付)


「高市政権下で旧宮家からの養子案が『第一優先』として急浮上すると、皇室の方々からは戸惑いの声も聞かれた」(同)「政府の有識者ヒアリングでは、次世代で唯一の皇位継承者でもある悠仁さまを支えるためにも、早期に養子皇族を迎えるべきだとの意見も出たが、秋篠宮家に近い関係者は『そのようなことを望むお考えは聞いたことがない』と口をそろえる」(同)


今回の皇室典範の改正がいかに皇室の方々のお気持ちに背くものか。その事実はより広く知られる必要がある。 


▼追記

①7月31日、「週刊女性」の取材対応。

②8月2日、IndependentWEBJournalの岩上安身氏からのインタビュー収録。

③8月7日、「週刊ポスト」の取材対応。

④8月8日、高森稽古照今塾。

⑤8月10日、プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」公開。

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