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改めて振り返る皇位継承問題を巡る政府の公然たる「裏切り」

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 2 分前
  • 読了時間: 4分
改めて振り返る皇位継承問題を巡る政府の公然たる「裏切り」

皇位継承問題について、政府は皇室と国民に対して公然たる「裏切り」を行っている。このタイミングで、改めてその事実を確認しておく。


その裏切りとは何か。改めて言う迄もなく、今の皇室典範が抱える構造的欠陥を是正し「安定的な皇位継承」を目指すという最優先すべき課題を、皇室と国民から突きつけられながら、冷酷に“先延ばし”し続けていることだ。


平成時代に上皇陛下の侍従長として11年近くお仕えした渡邉允氏の次のような証言がある(同氏『天皇家の執事 侍従長の十年』文春文庫、平成23年)。


「振り返ってみると、私が侍従長としてお仕えしていた期間(平成8年12月~同19年6月)のほとんどは、皇位継承をめぐる問題が緊迫した課題として存在し続けていました。天皇陛下は十年以上にわたって、この問題で深刻に悩み続けられました。天皇陛下の背負われた責任感の重みと、お悩みの深さは、我々には想像すら出来ないものだったと思います。そのお悩みによって、陛下は夜お寝(やす)みになれないこともありました」 宮内庁長官を取材して来た元日本経済新聞記者の井上亮氏の証言も見逃せない(同氏『宮内庁長官』講談社現代新書、令和7年)。


「(平成18年2月に秋篠宮妃紀子殿下のご懐妊が明らかになると)政府·自民党内では保守派が女性天皇に反対しており、(当時の小泉純一郎内閣で予定されていた)皇室典範改正への慎重論が一気に高まった。改正案提出は見送られ、9月6日に紀子妃が男児=悠仁親王を出産したことで女性·女系天皇容認の有識者会議最終報告書は事実上、白紙に戻された。


しかし、悠仁親王の誕生は皇統の危機が一世代先送りされただけで 不安定な皇位継承制度の構造的問題が解決したわけではなかった。悠仁親王誕生を喜びながらも 明仁天皇(上皇陛下)は不安を抱いていた。羽毛田(信吾宮内庁長官)は天皇の思いを察し、皇統の危機についての議論を終わらせてはならないと考えていた」しかし、「皇統の危機についての議論」は終わった。


この課題について、再び社会的関心を喚起したのは、他ならぬ上皇陛下ご自身だった。

上皇陛下のビデオメッセージ「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」(平成28年8月8日)は次のように締め括られていた。

「象徴天皇の務めが途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解が得られることを、切に願っています」

上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法が国会で可決された時の附帯決議(平成29年6月)にも、以下の通り最優先課題として掲げられていた。


「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること」

ところが、この附帯決議に対応する有識者会議が設けられたのは、決議から4年近く経った令和3年3月であり、同年12月に提出された同会議の報告書は「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」について全く白紙回答、という不誠実さだった。


政府は「先延ばしすることはできない重要な課題」を平然と“先延ばしし”たことになる。

代わりに持ち出された“目先だけ”の皇族数確保策の愚かさは、ここでは繰り返さない。 


「国民の理解が得られることを切に願っています」とおっしゃった上皇陛下の願いを、平然と踏みにじった政府の姿勢に憤りを覚える国民も決して少なくないはずだ。

今年の天皇誕生日に際しての記者会見で、天皇陛下は次のようにおっしゃっていた。


「愛子には、引き続き感謝と思いやりの気持ちを持ちながら、これからも多くの経験を重ねて更に成長し、皇室の一員としての務めを大切に果たしていってくれることを願っています」

「戦争の記憶と平和の尊さを次の世代に引き継いでいく役割を愛子にも担ってほしいと思っています」

「私達はやはり愛子にも一人の人間として、そしてまた一人の皇族として立派に育ってほしいというふうに思って、今まで育ててきたつもりです。そういうことの延長線として、今後ともいろいろな面で力を出してほしいし、国際親善の面でも活躍してほしいという願いを強く持っている次第です」


女性天皇·女系天皇を認めた小泉内閣での皇室典範改正案(これは将来の「愛子天皇」を可能にする為の改正案だった)に立ち返れ!という声が高まっているのは当然だ。



▼追記

①5月27日、北海道新聞デジタル版にインタビュー記事がアップ。

別にまとめた記事が5月31日朝刊に掲載予定。


②5月30日、午後5時から1時間生放送のTOKYO MX「田村淳のキキタイ!」で皇室典範改正について解説する。


③5月31日、午後1時~2時半、前衆院議員だった吉田はるみ氏と再びYouTubeLIVE。前回5月17日のは2時間の長尺ながら5月26日午前の時点で視聴数は9.2万回。


④国家基本問題研究所『国基研紀要』第5号に拙稿掲載。


⑤前のブログで「女性自身」5月26日発売号にコメント掲載と予告をしていたが、私が別の号と混同していた。この週のコメント掲載は「週刊女性」同日発売号だけだった。申し訳ない。

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