top of page

政府プランは夫婦·親子なのに「権利」が全く異なる家族強制

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 7 分前
  • 読了時間: 4分

政府プランは夫婦·親子なのに「権利」が全く異なる家族強制

政府が国会に提案している、内親王·女王がご結婚後も「皇族」の身分を保持される一方、配偶者やお子さまは「国民」という、無理で無茶な制度。


この制度では、同じ家族の中でも、夫婦·親子がそれぞれ皇族と国民として身分が異なるので、

「権利の体系」も全く違うものになる。

具体的に述べよう。


先ず、皇族である内親王·女王はどうか。

憲法第1章が“優先的”に適用される。

その為に権利上、およそ以下の制約を受ける。


①皇籍離脱について皇室会議の同意を必要とする。

逆に「やむを得ない特別の事由があるとき」は、ご本人の意思に関わりなく皇籍から離脱を余儀なくされる(皇室典範第11条)


②婚姻に皇室会議の同意を必要とする(同第10条)。


③養子が禁止されている(同第9条)。

但し旧宮家系国民男性を対象とした場合だけを例外とする制度改正が検討されている。


④選挙権、被選挙権を持たない(平成4年4月7日、参院内閣委員会、宮尾盤宮内庁次長の答弁など)。


⑤信教の自由は内面だけにとどまらず、信仰に基づく活動をする自由や同じ信仰を持つ者が

団体を作る自由も含まれる(木村草太氏『憲法』令和6年)ので、制約を免れない。


⑥学問の自由も研究のみならばともかく、発表について天皇·皇族は「象徴」としてのお立場との関係から、制約を受ける(園部逸夫氏『皇室法概論』平成14年)。


⑦表現の自由についても、同じく天皇は「象徴」たるお立場から、制約される(昭和54年4月1日、衆院予算委員会、真田秀夫内閣法制局長官の答弁)。皇族もそれに準じた制約を受ける。


⑧居住、移転の自由も、天皇に準じて公務との関係などから制約される(園部氏前出)。


⑨職業選択の自由も、皇族たる身分や品位にふさわしくない経済的行為については、事実上の制約がある(同前)。


⑩外国移住·国籍離脱の自由も、天皇に準じて制約される(同。秋篠宮家のご長女、眞子さまの場合は婚姻により皇籍離脱後に外国に移住された)。


⑪プライバシーの権利は皇族ゆえに(厚く保護される部分と制約される部分があり)国民とは違う位置付けがなされる(同)。


⑫財産の譲り受け及び賜与については、制約を受ける(憲法第8条、皇室経済法第2条、皇室経済法施行法第2条)。では、国民である配偶者やお子さまはどうか。

こちらは憲法第3章が“全面的”に適用される。なので、どれも制約を受けない(①は元々皇籍にないので無関係)。

一目瞭然、認められる権利が“体系として”異なる。皇族が権利の点で様々な制約を受けるのは、

しかるべき理由がある。


憲法上「世襲の象徴」である天皇を支える皇室を構成する皇族に相応しい非政治性、公正中立性、品位などが求められることによる。


しかし社会通念上、夫婦·親子は“一体”と見られがちだ。だから、配偶者やお子さまを国民とすることは、皇族に課せられた制約(②~⑫)が事実上、形骸化する虞れを否定できない。

直ちに衝突するのは、以前にも触れた②だ。


憲法は、婚姻に当事者“以外”の意思が介入することを、禁じている(憲法第24条)。

ところが、内親王·女王が婚姻後も皇籍にとどまられるならば、男性皇族の場合と同じく皇室会議の同意がなければ、制度としての整合性を欠くことになる。この問題をどう解決するのか。


又、③についてはどうか。

配偶者が国民なら、旧宮家系子孫男性に限らず、血統も性別も関係なく、誰でも自由に(皇室会議の関与もなく)養子を取ることが可能なはずだ。更に、国民である配偶者やお子さまの④~⑫の権利が無制限に行使された場合、皇族である内親王·女王のお立場と、果たして両立し得るのかどうか。甚だ疑問ではあるまいか。


我が国では近代以降、「家族は同じ身分」という原則が採用された(だから国民出身の女性方も

婚姻によって皇后や妃殿下として皇族の身分を持たれる)。

それを破って、内親王·女王の場合だけ夫婦も親子も別の身分、という“異例の家族”を強制する制度は、当事者の家族としての一体感を損ないかねない。その上、皇室自体の尊厳を大きく傷付ける危険性が高い。


天皇皇后両陛下としばしばご一緒にご公務に臨まれる敬宮殿下の配偶者やお子さまが国民という制度は、聖域中の聖域と言うべき天皇ご一家の中に、一般国民をそのまま加える結果を招く。

厳格であるべき“皇室と国民の区別”を根底から覆す暴挙であり、率直に言って正気を疑う。


▼追記

「週刊現代」3月30日発売号にコメント掲載。

bottom of page