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内親王·女王方の夫が国民なら婚姻の際に皇室会議関与は違憲?

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 24 時間前
  • 読了時間: 5分

更新日:60 分前

内親王·女王方の夫が国民なら婚姻の際に皇室会議関与は違憲?

皇室典範の改正について、今回の特別国会で一先ず決着を迎える可能性が高い、との見方が強まっている。


与野党の協議に詳しい関係者の発言として、4月中にヤマ場を迎えるとの見立ても報じられた。

「早ければ4月下旬に『立法府の総意』がまとまり、今国会中に成立する可能性がある」と(産経新聞3月15日付)。


しかし、政府·与党は内親王·女王殿下方がご結婚後も皇籍にとどまられる一方で、男性皇族のケースとは異なり、その配偶者やお子さまは「国民」とする無理で無茶なプランを考えている。

わが国では近代以降、「家族は同じ身分」という原則が確立している。


皇室を構成する天皇·皇族のご家族はもちろん「皇族」であり、国民の家族は同じ「国民」だ。

にも拘わらず、内親王·女王“だけ”夫婦·親子がそれぞれ別の身分にするという「異例の家族」を強制しようとしている。


自民党などはこれまで「夫婦が別姓(別氏)では家族としての一体感が損なわれる」などと主張して来た。ならば、別姓どころか、妻=母親は「皇族」で皇統譜に登録され、夫=父親と子は「国民」で戸籍に登録されるような家族ならば、“家族としての一体感”はより損なわれると見るのが当たり前だろう。


そもそも、天皇·皇族方は憲法上公正·中立であることが要請され、国政への関与も否定されている。これに対して、国民は憲法によって政治活動の自由をはじめ幅広い権利と自由が保障されている。


ところが、社会通念上“家族は一体”と見られるのを避けがたい。その現実に鑑みて、国民である配偶者やお子さま自由な活動が、皇族とか皇室ご自身のご活動と受け取られることは避けにくい。


よって、公正中立と非政治性を求められる皇族と、あらゆる自由·権利が保障される国民が「1つの家族」を構成することには、はっきりと無理がある。 このプランの無理さは、各論的な一例として、婚姻を巡るアポリア(解決不可能な難問)からも、明らかだろう。


憲法は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」することを規定する(第24条第1項)。

この条文は「婚姻が有効に成立するための要件は、婚姻する男と女との合意だけであり、それ以外の要件をみとめることを禁ずる意である」(宮沢俊義氏)、「婚姻は両性の合意のみに基づき成立するから、当事者以外の第三者の同意を有効要件とすることは、憲法上の例外的家族と解される天皇·皇族以外については禁止される」(渋谷秀樹氏)と解されている。


一方、皇室典範には、ご結婚後も皇籍にとどまられる天皇及び男性皇族が婚姻する際は、皇室会議の同意を必要とすることが規定されている(第10条)。その立法理由については、「皇后又は皇族の正配として著しく不適当なる者との婚姻を防止せんとするにある」(法制局「皇室典範案に関する想定問答」)と説明される。


これは常識的な感覚からは非礼な印象を受ける表現かも知れない。だが、法制度として皇室の尊厳、「聖域」性を守る観点からすれば、必要な手順だろう。


皇室会議は皇族の代表や三権の長などによって構成される最も権威ある国家機関だ。

天皇の役割を支える皇室の方々の婚姻について、皇室会議が関与することは妥当性が認められる。


皇室典範を改正して内親王·女王方がご婚姻後も皇籍を保持し続けられるのであれば、男性の天皇·皇族の場合と同じように、皇室会議の同意を婚姻の成立要件としなければ、制度としての整合性を欠くことになる。


しかし、政府が考える制度では、配偶者は「例外的家族」たる皇族ではなく、婚姻後も「国民」のままだ。なので、「それ(両性の合意)以外の要件をみとめることは禁ずる」「当事者以外の第三者の同意を有効要件とすることは…禁止される」という憲法の規定が、優先されなければならないはずだ。憲法が最高法規なのに対して、皇室典範は下位法に過ぎない。


だから、憲法自体が例外扱いをする天皇·皇族の婚姻に皇室会議の関与を認めることは問題がなくても、皇籍を取得しない「国民」の婚姻に皇室会議の同意を成立要件として持ち込むことは、違憲無効となる。


だが、皇室を構成される内親王·女王の配偶者について、皇室会議が全く関与できないのも、典範第10条の立法理由に照らして、違和感があることは否定できない。


つまり、婚姻に臨む内親王·女性サイドから見ると、皇室会議の関与は妥当かつ必要であって憲法上も許容される一方、国民のままとされる配偶者サイドから見るとそれは違憲無効となる、という奇妙な事態に突き当たる。


これは結局、内親王·女王の配偶者を国民とする前提そのものに無理がある、と結論付ける他ないだろう。

政府·与党は無理で無茶(しかも安定的な皇位継承には全く無縁)なプランを“数の力”で押し通そうとしている。


だが、そのような乱暴極まるやり方をすれば、どうなるか。「国民の総意」に基づき、「国民統合の象徴」であるべき、天皇·皇室への幅広い国民の信頼や敬愛そのものを、大きく傷付ける結果を招きかねない。


その危険性に気付くべきだ。



追記

①3月6日、今月1本目のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」公開。


②3月11日、前衆院議員の吉田晴美氏とInstagramライブ配信を行った。

アーカイブでも視聴が可能だ。


③3月13日、「日刊ゲンダイ」の取材を受けた。

④同日、政教関係を正す会の研究会。

⑤3月14日、高森稽古照今塾。

たまたま、この日は私の69歳の誕生日だったので、

塾生から花束とお洒落なカウスボタンのプレゼントを貰った。

懇親会ではお祝いのケーキも。みんな有難う。

⑥3月19日、「週刊現代」の取材に対応。

⑦今月2本目のプレジデントオンラインの記事は3月27日に公開予定。


⑧天皇誕生日に発表された記者会見での天皇陛下の

ご発言を取り上げた2月公開のプレジデントオンラインの

私の記事がBEST記事として4月上旬に再掲載とのこと。

公開から7日以内のpv数が100万回以上だったらしい。

同じ内容がYahoo!でも配信されたので、更に広く読まれたはずだ。

少しでも多くの国民に伝えたい内容だったので嬉しい。


 
 
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