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「感謝と思いやりの気持ち」天皇ご一家の心のバトンリレー

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 12 分前
  • 読了時間: 5分
「感謝と思いやりの気持ち」天皇ご一家の心のバトンリレー

3月8日、天皇ご一家がWBCのご観戦にお出まし。

国際試合では60年ぶりの天覧試合という。


ご一家がお帰りになる時に、選手達は礼儀正しく帽子を取って姿勢を整え、球場の観客達は拍手でお見送りした。ご一家はお手を振って観客達にお応えになり、又、選手達の敢闘を拍手によって讃えられた。まことにお優しいご一家らしいお心配りだった。


その場にいなくても、その光景を映像で拝見して、清々しい気持ちになり、感銘を受けた人達も少なくなかっただろう。


この時のお姿を拝見しただけで、令和の皇室において天皇皇后両陛下のお気持ちやお考えを

最もまっすぐに受け継いでおられるのはどなたか、一目瞭然だった。


“世襲”の核心が、「精神の継承」にあるならば、両陛下のご長女、敬宮殿下こそが誰よりも

次代の皇位継承者に相応しいことは、自明と言うべきだ。


今年の天皇誕生日の記者会見で、天皇陛下は敬宮殿下について次のようにおっしゃっていた。


「今後、皇族としての仕事幅も徐々に広がってくるのではないかと思います。

愛子には、引き続き感謝と思いやりの気持ちを持ちながら、これからも多くの経験を重ねて更に成長し、皇室の一員としての務めを大切に果たして行ってくれることを願っています」


この時のご会見の内容が、これまでにないほど率直に、敬宮殿下がご結婚後も「皇族」として皇室にとどまって欲しい、という天皇陛下のご本人を吐露されたものであったことは、2月27日公開のプレジデントオンライン「『天皇陛下がこれほど率直な本心を示されたことはない』皇室研究家が読み取った愛子さまへの強い望み」で、少し詳しく解説した。

関心のある人はそれを参照して欲しい。



その時に、原稿の字数の制約で触れられなかった事実を述べておく。


それは、記者会見でおっしゃっていたおことばの中にあった「引き続き感謝と思いやりの気持ちを持ちながら」という一節の背景には、天皇ご一家の深い“心の絆”が秘められているということだ。


実は、天皇陛下はご即位以来、天皇誕生日の記者会見で敬宮殿下に触れられる際は、欠かさずに

「感謝と思いやり」の大切さを巡り、同様の表現を繰り返して来られている。


その間に、敬宮殿下がご成年に当たっての「ご感想」を発表された(令和3年12月1日)。

その中には、次のような一節があった。


「日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことができる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います」


敬宮殿下が、両陛下から伝えられた「思いやりと感謝の気持ち」の大切さを、真摯に受け止められていることが、はっきりと分かる。では、天皇陛下が即位される前の平成時代は、どうだったか。


皇后陛下が、記者会見に際しての「ご感想」の中で、平成29年から途切れることなく、「感謝と思いやりの気持ち」について繰り返し触れておられた。当時は皇太子妃として、同年に次のようにおっしゃったのが、最初だった。 


「愛子は…先日、16才の誕生日を迎えたところですが、今後とも、感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、様々な経験を積み重ね、更に成長していってほしいと願っております」


この年には、皇后陛下の「ご感想」に先立って、敬宮殿下が学習院女子中等科の修学旅行で広島を訪れられたご感想を「世界の平和を願って」という作文にまとめておられた。その中のキーワードが、まさに“感謝”と“思いやり”だった。


「何気なく見た青い空。しかし、空が青いのは当たり前ではない。

毎日不自由なく生活できること、争いごとなく安心して暮らせることも、当たり前だと思ってはいけない。なぜなら、戦時中の人々は、それが当たり前にできなかったのだから。

日常の生活の1つひとつ、他の人からの親切の1つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから、『平和』は始まるのではないだろうか」(『学習院女子中等科卒業記念文集』平成29年)


ここに平和の原点として、「感謝と思いやり」というキーワードが揃って出てくる。そこから拝察すると、恐らく皇后陛下は敬宮殿下の作文から、このキーワードを敬宮殿下が自ら掴まれたことに気付かれた。その上で、この気持ちを今後も大切にして欲しいと願われて、以後のご感想の中で毎年、それを繰り返し述べて来られたのではあるまいか。


それは勿論、天皇陛下も同じお気持ちだったはずだ。


こうして、平成時代には皇后陛下が皇太子妃としてのお立場で、令和に移ってからは天皇陛下ご自身が、中学生だった敬宮殿下が自ら見付けられた「感謝と思いやり」の気持ちを、「今後とも」

「これからも」大切にし続けるように、敢えて“おことば”として繰り返して来られたのだろう。


しかも見落としてはならないことは、敬宮殿下がご自身で見付けられた「感謝と思いやり」の

気持ちの大切さも、他ならぬ両陛下のそれまでのご教育の賜物だった、という事実だ。


天皇陛下は敬宮殿下が学習院初等科の1年生から2年生に上がられる手前の時点で、次のように述べておられた(平成21年)。


「私たちの今後の教育の方針と言っていいか分かりませんが 、誠実で人に対する思いやりの心をはぐくむことがとても大切と考えています」


又、初等科から女子中等科に進まれる手前の段階では、以下のようにおっしゃっていた(平成26年)。


「自分で考え、行動できるようになるとともに、周囲への感謝の気持ちや配慮を大切にしながら、健やかに育ってほしいと思います」


両陛下の教育方針の中で、「思いやり」「感謝」という心の持ち方がどちらも、早くから大切な柱になっていた。それが土台となって、敬宮殿下が自ら「感謝と思いやりの気持ち」が取り分け大切であると思い至られた。


その敬宮殿下の素晴らしい“気付き”に対して、両陛下が平素はもとより、お誕生日ごとの記者会見やご感想を通しても、心を合わせて背中を押し続けて来られている…。


これまでの経緯を振り返ると、そのような美しい心のキャッチボール、或いはバトンリレーとも言うべき、ご一家のこまやかな心の絆が、目に見えるようだ。


敬宮殿下の立ち居振る舞いを拝見すると、確かにご本人の内面にある「感謝と思いやり」の

お気持ちが滲み出ているのを感じる。


ご聡明にして優美、明るくユーモアも備えた光輝くようなお人柄も、もって生まれた資質に加え、両陛下のご薫陶とご自身のたゆまぬご研鑽によるものと拝察できる。

多くの国民から、次代の天皇として期待が高まるのも当然だ。

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