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政治の「第一優先」課題は女性皇族方の将来の不透明さの解消

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 11 分前
  • 読了時間: 5分
政治の「第一優先」課題は女性皇族方の将来の不透明さの解消


自民党圧勝後の特別国会が開会した。

政界の光景は一変している。

高市早苗·首相はスピード感を持って政策を推し進めることが、自分への高い支持率を維持する

最良の方法だと心得ているはずだ。

だから、これまでの国会の慣例にとらわれずに、とにかく速やかに国民の目に見える形で成果を出そうするだろう。

皇位継承問題についても、先の衆院選挙の公約に「『皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする』案を第一優先として、皇室典範の改正を目指す」と明記していた。だから、この問題の決着をいたずらに遅らせるつもりはないだろう。

但し皇籍を離れた旧宮家系子孫男性が「皇統に属するか」については、少なくとも帝国憲法下の通説(美濃部達吉『憲法撮要』改訂5版など)では既に国民となった者は皇統から除外されており、当事者自身も「皇統に属さない」との認識を表明している(竹田恒泰氏「伝統と革新」創刊号)。 特別国会の開会に当たっては、自民党の先頭に立って皇位継承問題に取り組んできた麻生太郎·自民党副総裁本人を、衆院議長にしようとする動きすらあった。

結果的に、麻生派の事務総長だった森英介·元法相が議長に就任した。麻生氏の“手駒”が「立法府の総意」の取りまとめ役に就いた格好だ。高市政権は、なりふり構わずこの問題に一区切りつけようとしている、と見た方がよい。

立法府の総意を巡っては、自民党の麻生氏と立憲民主党の野田佳彦氏が水面下の交渉を重ね、

やっと両者の間に一定の合意が成立したかと思われた直後に、自民党側がちゃぶ台返しをして、“振り出し”に戻ってしまった。と落胆していたら、追い打ちをかけるように衆院の立憲民主党自体が消えてしまった。

新党の中道改革連合に合流して選挙に臨み、惨敗したのは周知の通り。これまで立法府の総意づくりの野党側のキーパーソンは、野田氏と馬淵澄夫氏だった。

その野田氏は中道敗北の責任を取って共同代表を辞任し、その政治的発言力は大きく低下した。馬淵氏に至っては議席を失ってしまった。その結果、メディアの中では突出して「男系男子」限定に強くこだわる編集方針を示してきた産経新聞が、喜色満面に「安定的な皇位継承に関する

与野党協議の前進を期待する声が高まっている」(2月13日付)と書くような局面を迎えている。

しかし前々から、立法府の総意を目指す協議の場では事実上、「安定的な皇位継承に関する」方策は予め除外されている。

残念ながら皇位継承の安定化には繋がらず、皇族数の減少を“目先だけ”緩和する弥縫策しか、議論のテーブルに載せられていないのが実情だ。

①未婚の女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持される一方、その配偶者とお子さまは、男性皇族の場合と異なって「国民」とするプラン。

この場合、「家族は同じ身分」という近代以降の原則を踏みにじることになる。

男性皇族のご家族も国民の家族も家族は同じ身分なのに、内親王·女王方の場合だけ夫婦別姓どころか、夫婦も親子も“別の身分”という扱いだ。

②親の代から既に国民で「皇統に属さない」旧宮家系子孫の男性に対し、他の人々には禁止されている“皇族との養子縁組”を例外的·特権的に解禁して、新しく皇族の身分を取得できるようにするプラン。

これは歴史上、全く前例のない、皇位は厳格に「皇統に属する」者のみが継承するという、皇位継承資格の純粋性(いわゆる「君臣の別」)を損なうやり方だ。もちろん、憲法が禁じる「門地による差別」に当たる憲法違反の疑いも払拭されていない。本来、検討の対象にしてはならないプランと言うべきだ。ところが、あろうことか②を「第一優先」とするのが自民党の方針であり、連立与党の日本維新の会との合意事項だ。

しかし未婚の女性皇族方は、ご自身の将来が見通せない不安をこれまで抱え続けておられる。

その女性皇族方をさしおいて、80年近くも放置されて来た旧宮家系男性への対処を、今頃になって「第一優先」にしなければならない理由が、一体どこにあるのか。既にご結婚の適齢期を迎えておられる未婚の女性皇族方は、皇室典範のルールがどのように変更されるかによって、

人生が全く違ってしまう。

今のルールのまま、ご結婚によって皇籍を離れ、国民の仲間入りをされるのか。

それとも①プランの制度化で、妻=母親は皇族で皇統譜に登録され、夫=父親と子は国民として戸籍に登録されるという、夫婦も親子も身分が異なる、近代以来、前代未聞の家族になるのか。

あるいは、当たり前に「家族は同じ身分」としてご家族は皆さま皇族になるのか。

そこが不確定な“宙ぶらりん”の状態のままでは、ご結婚に踏み切ることも妨げられかねない。

当事者の皆さまに、お生まれになって以来、未来が見えない残酷な状態を強制し続けて来た政治の無為無策と怠慢は、どれだけ非難されても仕方がない。

にも拘わらず、今になっても養子縁組プランが「第一優先」とは何事か。

高市氏をはじめ自民党や維新の会は、自分達がいかに冷酷無惨な主張をしているか、理解できていないのか。そもそも人道的な見地からも、女性皇族方の未来に関わる制度の確定こそが「第一優先」でなければならないのは、当たり前だろう。

追記

①2月17日発売の「女性自身」にコメントが掲載された。

②2月18日、「週刊現代」の取材を受ける。

③プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は2月27日に公開予定だったが前倒しの可能性あり。

④1月公開の「高森明勅の皇室ウォッチ」が好評につき「1月BEST」記事として、今のところ2月28日から再掲載予定という。

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