去る9月13日、元最高裁判事で「皇室典範に関する有識者会議」の座長代理などを務められた園部逸夫氏が、95歳で亡くなられた。皇室法研究の第一人者で、最後まで皇室の将来を憂えておられた。
小泉純一郎内閣に設けられた「皇室典範に関する有識者会議」の座長代理で、事実上の中心人物だった。同会議の報告書は、皇位継承問題に対するほぼ完璧な解答であり、今もこれを越える見解はどこからも示されていない。
私が同氏に最初にお会いしたのは、その有識者会議のヒアリングに応じた時だ。
予め用意したレジュメを元に説明を終えた後、園部先生から簡単な質問を受けて、お答えした。
それだけだった。
しかし、それから随分経って、国会議員の勉強会でお会いすると、私のことを覚えて下さっていたので、驚いた。
それとは別に、ある政党の全議員を対象にレクチャーされた際には、どういう経緯だったか、控室に何故か党の関係者が誰もおらず、暫く先生と私の2人だけになり、貴重な懇談の機会を与えられた。この時の思い出は今も鮮明だ。
既にかなりご高齢だったにも拘らず、専門方面に関する記憶力と頭脳の明敏さには、舌を巻いた。皇室関係のご著書に『皇室法概論』(第一法規)、『皇室制度を考える』(中央公論新社)、『皇室法入門』(ちくま新書)などがある。
ちくま新書の刊行については、旧知の編集者から相談を受ける形で、私もいささか関与させて戴いた。コンパクトかつ明快なので、皇室に関心を持つ人には広く読んで欲しい。
先生がご存命中に、皇位継承問題解決への曙光を見て戴くことができなかったのは、残念だ。
非力ながら、この問題には引き続き努力を重ねたい。
ご冥福を祈り上げる。
追記
①1月公開のプレジデントオンラインの「高森明勅の皇室ウォッチ」が上半期BEST5に選ばれて
9月22日から再掲載が決まった。
②プレジデントオンライン今月の記事は9月27日に公開予定。
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