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  • 執筆者の写真高森明勅

皇位継承問題のステージは立法府の総意を目指す国会協議へ


皇位継承問題のステージは立法府の総意を目指す国会協議へ

皇位継承問題への政府·国会の取り組みは結局、「皇位継承」という本来のテーマには当面、手をつけない(!)方向がほぼ固まった。


これまで進められて来た各党での党内意見の集約の結果、政府が国会に検討を委ねた「白紙回答」でしかない(!)有識者会議報告書プランを、立憲民主党と共産党を除き殆どそのまま追認するという、残念な結果だ。


今後は衆参正副議長の呼びかけにより、全政党·会派による「立法府の総意」形成を目指した協議が行われるはずだ。その本格的なスタートは恐らく4月28日の衆院補選後になるだろう。


政府·与党は当然、報告書プランをそのまま制度化する方向で進めようとするし、維新の会はその別働隊的な役回りを買って出るだろう。国民民主党もそれに同調する。元々「天皇制打倒」を掲げていた共産党が唯一「女性天皇·女系天皇」という正解を唱えているものの、失礼ながらその真剣さと政治的力量の点でどこまで頼りになるか。


立憲民主党は「女性天皇」の旗をしっかりと立てることができず、「女性宮家」についても“獅子身中の虫”の為に両論併記的な扱いにとどまった。だが、女性宮家の創設には是非とも漕ぎ着けて貰わないと、次への展望が苦しくなる。ゴールは一先ず今国会中と覚悟しておいた方がよいだろう。


衆参正副議長はその線で動くはずだし、その背後には岸田文雄首相の意向があると見てよかろう(但し海江田万里·衆院副議長と長浜博行·参院副議長はどちらも皇位継承問題に理解と熱意を

お持ちなので、協議が難航した時は拙速を避けようとブレーキ役を果たされる可能性もある)。


その岸田氏の意向を受けて、実質的に自民党の懇談会を仕切ったのは、事務局長の木原誠二衆院議員だ。会長の麻生太郎·自民党副総裁や会長代理の茂木敏充·幹事長がこのテーマに本気でなければその分、木原氏は動きやすく、結果的に岸田氏のスケジュール感に沿って事態が動いて行く。 


スケジュール感について政界は一寸先は闇ながら、立憲民主党を含む各党共、政争とは切り分けて今国会中という線で、足並みを揃えているように見える。逆に今国会中に決着を見ないまま、9月の自民党総裁選で岸田氏が不出馬に追い込まれるような展開を見た場合、皇位継承問題の行方は更に見通しにくくなりかねない。


残された時間の中で国民がやれることは差し当たり限られている。しかし、厳しい局面で根拠が不確かな楽観論に逃げ込み、戦うべきタイミングを見誤って後で悔やむようなことだけは、何としても避けたい。今できることに力を尽くそう。

 

追記 

今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は4月26日午前6時に公開予定。Yahoo!でも配信されるはずだ。

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