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  • 執筆者の写真高森明勅

皇位継承問題、私の見通しが外れ少しでも良い決着を願う


皇位継承問題、私の見通しが外れ少しでも良い決着を願う

私はこのところ柄にもなく、政治の具体的なスケジュールへの見通しについて述べて来た。


皇位継承問題が今国会中に一先ず決着し、今のままなら有識者会議報告書の提案(内親王·女王が婚姻後も皇籍にとどまられるが配偶者やお子様は国民というプランと、旧宮家系子孫男性が皇族との養子縁組で皇籍を取得するプラン)がほぼそのまま制度化されるという最低·最悪の結果を迎える公算が大きい。


一度決着すると、政治は次にいつ動き始めるかが不透明。なので、まさに“今のタイミング”での国民の政治への働きかけが極めて大切だ、と。そのように危機感を訴えて来た。


これに対し、かねて尊敬申し上げて来た成城大学教授の森暢平先生がわざわざ私見に言及して下さり、光栄だ。


「(私見とは)180度異なり、今国会中の決着の可能性は限りなくゼロ」との見立て。


私もこれまで慎重に断定を避け、政界は「一寸先は闇」と繰り返し留保を付けて来た。

例えば4月28日の補欠選挙で自民党が3敗し(既に不戦敗が2つ)、立憲民主党が長崎でも維新の会に競り勝って全勝するような局面になると、自民党内の権力闘争も激化するだろうし、政界全体の動きもどうなって行くか。


岸田文雄首相は解散権を封じられて、6月解散どころか9月の総裁選不出馬に追い込まれるケースもあり得る。但しそうなると、逆に起死回生を狙って皇位継承問題の決着を急ぎ…という展開も。


しかし私は、政治記者でも政治評論家でもない。ここで勝手なシナリオを並べても意味はないだろう。ただ、私見の根拠について簡単に述べておくと、額賀福志郎衆院議長らの考え方、政争とは切り分けてそれに協力しようとする各党の姿勢、特に立憲民主党のスケジュール感、立民を差し置いて議論を仕切り、決着を急ごうと目論む維新の会の動きなどの政界情報。


それらに加え、私自身が政治の動きに密着して伴走した特例法制定の時の体験による肌感覚も総合した、大まかな判断による。政治を動かそうとするなら世論喚起と共に、当然ながら実際の政治の流れ、スケジュールを視野に入れ、タイミングを計って関わる必要がある。


なので、素人なりに暫定的な見通しを示して来たに過ぎない。だから、それが絶対に正しいなどと言い張るつもりは毛頭ない。決着が私が予想したよりもう少し先になり、その間の良識的なメディアや国民の奮闘で最低·最悪の結論を免れて、ギリギリ「女性宮家」の創設にまで漕ぎ着けることができれば、これほど嬉しいことはない。


それは次のステップに大きなプラスになる。その意味で、私はむしろ自分の見通しが“外れる”ことを切に願っている。しかし、厳しい局面で根拠が曖昧な楽観論に逃げ込み、後で悔やむようなことだけは何としても避けたい。


事に備えるには(最悪の事態を織り込んで)悲観的に、事に臨んでは(その場での最善を目指して)

楽観的に対処するのが、鉄則だろう。

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