top of page
  • 執筆者の写真高森明勅

皇位継承問題、焦点は継承の安定化、最大の障害は女性蔑視


皇位継承問題、焦点は継承の安定化、最大の障害は女性蔑視

皇位継承問題の焦点は、いかに皇位継承の安定化を図るか、という一点だ。


もちろん、どのような制度改正を行なっても万全は期し難い。そうではなくて、行き詰まることが分かり切っているルールから少しでも安定化に舵を切ることが狙いだ。


産経新聞(11月7日付)に以下のような自民党関係者の発言が紹介されていた。


「立民(立憲民主党)や共産(党)は『人権侵害』や『女性蔑視』という観点で対峙してくるだろうが、それは違う。『先人が紡いできたルールを守ろう』という話だ」


「先人が紡いできたルール」とは何か?


皇位継承資格を「男系男子」に限定したのは明治の皇室典範以来のこと。

それは側室制度とセットだった。


側室不在で非嫡出·非嫡系による継承可能性が全面的に排除されたにも拘らず男系男子限定のままという無謀極まるルールは、昭和典範が歴史上初めて採用した。致命的な欠陥ルールと言うしかない。


それを本気で「先人が紡いできたルール」と思っているとしたら、無知の程度が甚だしい。

もし明治典範のルールを金科玉条のように扱いたいなら、側室の復活を叫ばなければ首尾一貫しないし、無責任だ。


側室が不在で少子化が進む現代でも、ミスマッチな無謀ルールにしがみつく思考停止の異常さ。

その背景にあるものは何か。


「女性蔑視」「男尊女卑」のメンタリティ以外には考えにくい。天皇·皇后両陛下のお子様にお健やかでご聡明な敬宮殿下がおられても、ただ「女性だから」という“だけ”の理由で皇位継承資格を認めない今のルールは、やがて皇位継承そのものを行き詰まらせる。


それでも、昭和典範で初めて採用された無理筋なルールを「先人が紡いできた」などという

ファンタジーを生み出してまで固執するのは、まさに底なしの「女性蔑視」以外の何ものでもあるまい。


追記

今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は11月24日に公開される。

bottom of page