8月26日公開のブログ「『日本書紀』で唯一“嫡子”とされた欽明天皇の血筋とは?」において、以下のような指摘をした。
「欽明天皇は(父親でなく!)母親の血筋=女系を介してそれまでの直系の皇統に繋がる方だった。…欽明天皇は傍系の父親(継体天皇)の血筋も引いているが、皇位継承に際しては直系だった母親(手白香皇女)の血筋を引くことこそが、その“第一条件”だったと見るべきだろう。…これ以後の天皇は全て…この天皇(欽明天皇)の血筋を引いておられる」と。
ところで、佐藤信氏編『古代史講義』シリーズ(ちくま新書)は「日本古代史の最新の研究成果と研究動向を提供する」(佐藤氏)良書として好評を博しているが、先頃刊行された【海外交流篇】(令和5年9月刊)中の記述によって、上記の指摘が近年の学界の通説的な見解と共通することを確認できる。
即ち、以下の通り。
「王統も武烈(天皇)で断絶の危機を迎え、北近江·越前を拠点とする継体(天皇)が即位、その子で、仁賢(天皇)の女(むすめ)手白香皇女を母として女系で(5世紀の)倭の五王につながる欽明(天皇)以降に『万世一系』の王統が確立されることになる」(森公章氏「倭の五王とワカタケル大王」)と。
「万世一系」の皇統は、“女系”を介してこそ、それ以前の5世紀の血統と繋がり得るという見方が、広く学界において受け入れられていることが分かる。
追記
①『FLASH』(9月26日・10月3日号)にコメントが掲載された。 ②今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は22日に公開予定。
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