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  • 執筆者の写真高森明勅

皇位継承問題で「傍系主義」という珍説を唱える国会議員が実在


皇位継承問題で「傍系主義」という珍説を唱える国会議員が実在

まさか本当に実在したとは。軽い眩暈(めまい)を覚える。皇位継承問題で、「傍系主義」を実際に唱える国会議員が実在した事実に、驚きを禁じ得ない。ちょっと、宇宙人にでも出会ったような気分。


この議員(自民党に移籍した…)は、皇位継承問題に関して最も基礎的な用語である「直系主義」の意味がまるで分かっていないか、思考回路自体が“宇宙人”的なのか、よく考えもせずに思い付きの言葉に飛び付く無責任なタイプなのか、あるいはそれら全てなのか。


いずれにしても、憲法上「国権の最高機関」とされ、国民の代表機関であるはずの国会を構成する、国会議員としての資格を疑われても仕方がない。


皇位継承における直系(=直接の親子関係で繋がる系統)主義とは、改めて説明するまでもなく、皇位の継承順位において直系を“優先”する(傍系は後回し)、というルールを意味する。


「世襲」概念が本来予想している親→子→孫という直系による継承を第一とし、それが不在なら傍系へと、天皇との血縁から近い順番に継承の機会が与えられる。


まさか誤解する人はいないだろうが、傍系に継承資格を一切、認めないルールでは勿論“ない”。

これは皇室典範の第2条を覗いていれば、誤解の余地がないはずだ。


それを前提に考えると、前代未聞の「傍系主義」とは一体どのようなルールになるのか?


“傍系(=直系から分かれた別の系統)”主義の看板に偽りが無いければ、直系よりも傍系を優先するルールと考えるしかない。その傍系の中で、天皇により近い系統を優先するのか、逆により遠い方から順番に優先されるのか。それはルールの作り方次第だろう。


極めて非常識ながら、敢えて直系主義を排除する異常な考え方を徹底すれば、遠い順番という完全に“逆立ち”したルールも想定し得ないことはない。


それはともかく、傍系主義を適用すると、昭和天皇が崩御された時にその次に皇位を継承されるのは、昭和天皇の末弟だった三笠宮(崇仁〔たかひと〕親王)殿下ということになる。三笠宮殿下が亡くなられたのは平成28年だったで、その時は殿下から傍系(甥〔おい〕)に当たられる上皇陛下が即位され、その次は弟宮の常陸宮(正仁〔まさひと〕親王)殿下…という継承順序になろう。


仮に、三笠宮殿下が亡くなられた時に男子のお子様方がご存命だったとしても、それらの方々は後回しになる。


タテ(親→子)の継承ではなく、ヨコ(兄弟や従兄弟、伯叔父・甥)の継承が続くことになる。


とにかく、天皇にお健やかでご聡明なお子様がおられても、傍系の皇族がおられる限り、絶対に(!)そのまま親子の継承を認めないのが傍系主義だ。当然、天皇のご在位期間は、直系主義に比べて短くならざるを得ない。短期間で天皇が次々と替われば(しかも次の天皇は先代のお子様でもない!)、天皇と国民との心の絆がしっかりと結ばれることは、難しくならざるを得ないだろう。


制度的に敢えて直系を断ち切るルールであり、御代替わりごとに皇位がヨコに移動する以上、それぞれの天皇のご系統への求心力は格段に弱まるはずだ。皇室自体の直系を軸とした求心的な構造も失われる。それは、上記の条件とも相俟って、国民統合の心理的な基盤にマイナスに働くことはあっても、プラスに働くことは決してあるまい。


天皇のなさりようとお心構えを、そのお側近くで受け止めて来たお子様は、傍系が存在すれば必ず除外される、という理不尽なルールなので、「天皇」という存在の揺るぎない継承性、持続性、連続性も、理屈抜きに実感し、直感するのが至難になろう。


この国会議員は、果たして本気でこんな珍無類なルールを目指しているのか。それとも、どんな無茶苦茶なルールでも構わず、ひたすら敬宮殿下への皇位継承を邪魔したいだけなのか。

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