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  • 執筆者の写真高森明勅

「建国記念の日」くにまもり演説大会で審査員を務めた


「建国記念の日」くにまもり演説大会で審査員を務めた


2月10日、衆院内閣委員会で立憲民主党の馬淵澄夫議員が皇位の安定継承を巡り40分間にわたり質疑を行われた。


答弁に立ったのは松野博一内閣官房長官。この重大かつ緊急性を要する課題に対し、岸田内閣がいかにやる気も責任感も無いのかが浮き彫りになった。


前の菅内閣の置き土産とも言える有識者会議報告書に対しても冷淡そのもの。報告書に盛り込まれたプランの制度的整合性の欠如や、憲法違反の疑いをいくら指摘されても、どうぞ国会で好きに料理して下さい、という投げやりな態度だ。


内閣が責任を持って法案を提出すること(いわゆる閣法)にさえこだわらず、閣法にするか議員立法にするかまで、全て国会に委ねるという趣旨の答弁には驚いた。


上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法の時には、当時の安倍首相が主導権を国会に渡すまいとして、国会サイドの大島理森衆院議長や野田佳彦元首相と綱引きを演じたが、それとは正反対で、当事者意識もなく国会に丸投げ、という姿勢だ。


松野氏は終始、“無敵の答弁”を続け、傍聴席にいた私は脱力感に襲われた。同質疑の後、私が取材を受けたのは僅かに「女性自身」だけというのも、メディアの無関心さを示しているのだろうか。私のコメントは14日発売号に掲載される。


詳しくはプレジデントオンラインの今月の「高森明勅の皇室ウォッチ」に執筆し、いつもより前倒しで公開の予定。


2月11日、「建国記念の日」。

東京ビッグサイトで「第15回くにまもり演説大会」が開催された。例年、審査員は仰せつかっている。出場資格は20代以下。今年は1498名がエントリー。


第3次審査を通過した8名から優勝・準優勝・第3位を決める(8名の内訳は女性が6人、男性が2人。ちなみにエントリーの7割弱は男性だったらしい)。


収容人員千名弱の会場が若者たちで満席。キャンセル待ちも出ていたとか。そのほかオンラインで約600名が参加。合計1600人ほどのイベントになった。


私はしばらく審査員を続けているが、今年の弁士たちは飛び抜けてレベルが高い。私自身の評価では、社会人としてドローン関連でレーザー開発に携わり、日本に不利だった国際ルールの変更にまでこぎつけ、既に世界水準の成果を出している男性弁士を、弁舌的には最も下手くそだったが、優勝者として推薦した(結果的には準優勝)。


優勝は、地元の議員や役所に働きかけるなど、減税への取り組みを足元から進めている女性。

減税によって、かえって全体の税収が増えたデータを紹介して、主張に説得力を持たせた。去年に続き、2年連続の予選突破で晴れて優勝を手にした。


第3位は、今年の産経新聞主催の演説大会で優勝した女性。国語の大切さを訴えた。弁論として非の打ち所がなく、極めて高い水準にある。しかも自身の「読み聞かせ」や、教育現場と行政というボトムアップ・トップダウン双方にわたる働きかけ等の実践に裏打ちされた内容。20代とは思えない落ち着きぶりで、風格さえ感じさせる。例年なら間違いなく優勝だろう。それだけ今年のレベルは高かった。


ちなみに、彼女は高森稽古照今塾の塾生。しかし勿論、公平に審査した。審査員の講評の中ではミス・ワールド・ジャパン事務局の女性の話が印象に残った。


控え室では、憲政史家の倉山満氏が日銀総裁人事に関する原稿の締め切りに追われて睡眠不足とかで、随分、憔悴しておられる様子で、お気の毒だった。同氏は以前、大病を患っておられるのでご健勝を祈りたい。


とても気持ちの良い大会だった。前日の国会傍聴での不快感を、綺麗サッパリ拭い去って貰った感じだ。2月12日、高森稽古照今塾でハイブリッド講義。いつもの内容に入る前に、前日の「くにまもり演説大会」について私なりの感想を、教育的な観点から少しだけ述べた。


塾の後は人数を絞った懇親会。

お酒を楽しむのは勿論ながら、人格的交流という意味ではとても大切な教育の場だと心得ている。

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