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  • 執筆者の写真高森明勅

憲法学の通説では「門地差別禁止」の例外は皇室の方々に限定

更新日:2023年2月10日


憲法学の通説では「門地差別禁止」の例外は皇室の方々に限定

日本国憲法第14条に「門地による差別」を禁止している。

しかし、憲法自体が例外を認めている。


それは「皇位の世襲」という憲法そのものの要請(第2条)に応える皇室の方々(天皇・皇族、皇室典範特例法施行後は上皇も含む)だ。それが憲法学の通説。


これは逆に言えば、皇室の方々以外(例えば旧宮家関係男性とか、より広く国民の中の皇統に属する男系の男子など)を例外扱いすることは、憲法違反への疑念が生じることを意味する。


憲法学者で東京大学大学院教授の宍戸常寿氏が旧宮家プランに憲法違反の疑いがあることを指摘されたのは、その意味では、単に通説を旧宮家プランにそのまま当てはめたに過ぎない。

私は勿論、憲法学は全く専門外だから、関連図書も手元に揃えていないが、貧しい蔵書の中からいくつか参考となる部分を紹介する。


「日本国憲法は…天皇の世襲制をみとめているから…皇位の世襲に関連する限りにおいて、天皇…および皇族をもって、一般国民とはちがった種類(身分)とし、これについて、多かれ少なかれ、一般国民とはちがった法律的取扱いを定めることは…憲法の容認するところというべきである。…しかし…天皇および皇族のかような特別扱いの範囲は、皇位の世襲制との関連において、必要な最小限度にかぎるのが、憲法の精神に適合するであろう」(宮澤俊義氏『法律学体系コンメンタール編1 日本国憲法』)


「憲法第14条は…華族の制度を廃止した。ただ天皇の君主としての地位は、憲法がその歴史的伝統的な価値を国民の総意に基づいて認めたものであるから、天皇・摂政その他の皇族については特例が認められる(第1章)」(田上穣治氏『日本国憲法原論』)


「憲法が天皇制を存置し、皇位の世襲制度を認めている以上(第2条)、皇位継承資格を有する血族的近親者たる皇族の身分は憲法みずから承認しているものであり、従って憲法上、一般の国民と差別されることは当然である」(佐藤功氏『日本国憲法概説〈全訂第3版〉』)


「14条が『門地』によって差別されないといっている『国民』とは天皇・皇族をのぞく一般国民を指す」(伊藤正己氏ほか『注釈憲法〔第3版〕』)


「家系・血統等の家柄による差別の禁止は、当然に貴族制度の廃止に繋がるが、皇族は、天皇制から導き出される平等原則の例外である」(青山武憲氏『新訂 憲法』)


「象徴天皇制に伴う天皇ならびに皇族の身分上の例外を除けば、日本国憲法は近代的意味の平等を徹底して保障しようとしていることがうかがわれる」(野中俊彦氏ほか『憲法Ⅰ〔第4版〕』)


「天皇・皇族…皇位の世襲と職務の特殊性から必要最小限度の特例が認められる」(芦部信喜氏、高橋和之氏補訂『憲法〔第4版〕』)


「皇族は一種の貴族ともいえるが、これは憲法が天皇制を存置したことにともない、一定範囲で存続している」(佐藤幸治氏『日本国憲法論』)


「14条は家柄の尊卑を否定する。ところが君主制度は、世襲制を前提とする。平等原理は、天皇には適用されない」(長尾一紘氏『日本国憲法〔全訂第4版〕』)


皇統譜(大統譜・皇族譜)に登録される天皇・上皇・皇族と、戸籍に登録される一般国民との区別は、明確だ。それを忽(ゆるが)せにすべきではあるまい。



追記

2月10日、衆院内閣委員会で立憲民主党の馬淵澄夫議員が皇位の安定継承を巡る問題について質問される予定。有識者会議報告書が政府から国会に回されて初めての本格的な質疑になるか。政府がどれだけ誠実な答弁を行うか。注目したい。

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