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  • 執筆者の写真高森明勅

いわゆる旧宮家に関わる東京五輪汚職をめぐる近頃の動き


いわゆる旧宮家に関わる東京五輪汚職をめぐる近頃の動き

神武天皇の子孫だからといって、それだけで皇位継承の資格を持ち得るわけではないということを、これまで繰り返し指摘してきた。そのことは、歴史上の著名な人物を思い起こせば、たちどころに理解できるはずだ。


平将門、平清盛、源頼朝、足利尊氏など皆、神武天皇の血筋を引いた「男系男子」だ。

しかし、だからといって、これらの人物に天皇になる資格があったなどと考えている人は、いないはずだ。


皇室という「聖域」で生まれ育たれた方々と、一般社会で生まれ育った人々を、“血筋”だけで

同列視するような思い違いは厳に避けねばならない。


例えば、神武天皇の子孫のお一人である竹田恒和氏。

いわゆる旧宮家の一つ竹田家の方であり、元皇族の竹田恒徳(つねよし)氏の三男ながら、同家が皇籍離脱した昭和22年10月14日より後に国民として生まれた(同年11月1日に誕生)。その子息に竹田恒泰氏などがいる。



近頃、東京五輪汚職事件で逮捕された大会委員会元理事の高橋治之容疑者とのつながりが深かった同氏の名前が、様々に取り沙汰されている。


すでに任意で東京地検特捜部の事情聴取に応じていることも報じられた(例えば朝日新聞デジタル9月16日19時40分配信)。オリンピックのスポンサー選定などに絡むいくつかの疑惑が浮上しているようだ。


竹田氏が社外取締役を務める駐車場サービス「パーク24」がオフィシャルサポーターになった経緯や、ぬいぐるみ製造・販売「サン・アロー」から高橋容疑者が「竹田氏の慰労会のため」として約800万円を受け取っていたことなど。ただし、「竹田氏は森喜朗元首相と並んで特捜部の本ボシの一人だったが、立件は見送られる見込み」(「SPA!」10月4日号)という。



同氏に対しては以前、これとは別に五輪招致活動において、招致委員会が誘致票を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員のダミー口座に約2億2000万円の賄賂を振り込んだとして、フランス検察当局の捜査共助要請を受けた東京地検による事情聴取もあった(平成29年2月6日)。


日本オリンピック委員会(JOC)会長の退任を余儀なくされたのが(任期満了という名目ながら)この件によってであったのはよく知られているだろう(フランス当局からは「日本の捜査協力は限定的で欠陥が多い」とクレームが来ているとか)。



同氏のJOC会長就任に高橋容疑者が尽力したことも、広く知られるようになった。


「竹田氏は…(会長就任当時)立ち上げた旅行代理店の経営が芳しくなく、01年に関与した乗馬クラブが経営破綻するなど、一時、苦境にあった。それを救ったのが高橋容疑者で、01年9月、八木祐四郎JOC会長が急逝すると…堤義明JOC名誉会長などに根回しし、後任に竹田氏を就けた。それまで無給の名誉職だったJOC会長職を年収15000万円の有給の実務職にしたのは高橋容疑者で、『カズ(=竹田恒和氏)も大変だからな』と、共通の友人につぶやいたという」(「現代ビジネス」9月29日6時02分配信)



世俗で生きていれば様々な浮き沈みもあろう。それを今、とやかく言うつもりはない。

しかしそういう人々(やその身内)が、婚姻も介さず特権的に皇族の身分を取得できるという制度には、首をかしげる。


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