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執筆者の写真高森明勅

『秋篠宮』の著者、江森敬治氏が「長子優先」を唱えた意味




読売テレビの「そこまで言って委員会NP」は、これまで私も何度かゲストとして出演した番組だ。


8月7日に放送された同番組では、『秋篠宮』の著者の江森敬治氏がゲスト出演されて、「今後のことを考えると、将来的には長子優先も議論すべきではないか」という考えを披露されたとか(同書については、プレジデントオンラインの連載「高森明勅の皇室ウォッチ」で以前、少し辛口の書評を書いた)。


これは、江森氏が秋篠宮家と“最も近い”ジャーナリストである事実を考慮すると、極めて興味深い。

長子優先というのは、皇位の継承順序について男女の性別に関係なく、第1子(長子)を優先する考え方だから、“現在の”皇室に当てはめると、秋篠宮殿下より敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下を優先する結論に行き着く。


番組内で江森氏がその辺について、具体的にどのような言い回しをされたかは知らない(恐らく“将来的”に力点を置いた少しソフトな言い方をされたのではないか)。

しかし、同氏の立ち位置からして、あらかじめ秋篠宮家側の同意がなければ、このような発言はとても出来なかったはずだ。


「長子優先」というのは、秋篠宮殿下のこれまでのご発言から窺える合理的でリベラルな考え方とも、整合する(もちろん、歴史を“わがこと”として回顧され、遠い未来まで洞察される、天皇陛下の思慮深いご態度とも整合する)。


今回の江森氏の発言は、皇位継承を巡る秋篠宮家の基本的な考え方を拝察する手がかりとして、貴重ではないか。将来、秋篠宮殿下ご自身がご即位を辞退されるだろうということは、ご本人のご意向として従来も報じられて来た。しかしどうやら、更に踏み込んで「長子優先」こそ“本来のあるべきルール”と考えておられるらしい。

ご即位のご辞退そのものも、あるいはそうした規範意識によるお考えかも知れない。

その本来のあるべきルールに基づけば、(不当に“先延ばし”しない限り)次は「愛子天皇」ということになる。


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