参院選の期間中という、政治家に直接アプローチしやすい絶好の機会を活用して、個別の候補者やその関係者に1人の国民として姿を示し、自らの本名・責任を明らかにして、皇位の安定継承への願いをストレートに伝える。そのような取り組みが全国各地で広がっている。
その報告件数は7月2日18時半現在の集計で、26都道府県、143件(!)。
まさに全国的な広がりを見せている。しかも、これは組織や団体の指示・命令で行われていることではない。目的を同じくする各個人が、純粋に、それぞれ自発的な意思と創意工夫によって、行っているものだ。これは“投票”民主主義を超える画期的なムーブメント(主張を持った集団の行動)ではあるまいか。
愛子天皇への道
ここで少し候補者の側に立って考えてみたい。
「女性天皇」に反対という立場を明確にしている場合(今回の参院選候補者では少数)。選挙でマイナスになるリスクも覚悟して自分の立場を公表しているほどだから、目の前に「女性天皇」の実現(を可能にする皇室制度の改正)を訴える国民が現れたからといって、たやすくこれまでの考え方を改めるとは考えにくい。
しかし将来、国会の場で具体的な結論を出す為に、何らかの歩み寄りが求められる局面では、そうした国民の声が直接届いているのとそうでないのとでは、やはり判断の仕方に違いが出るだろう。
今回の選挙でほぼ当選が確実視されている方で、候補者アンケートで誤魔化さずに女性天皇「反対」を表明され、これまでの動きでも反対派の先頭に立っておられるような人物が、ある番組の中で「しかし最終的には、我々は評論家ではなく、主権者である国民から付託を受けて国政に当たっている以上、自分個人の政治的信念よりも国民の大きな意思を優先するのは当然です」という趣旨の発言をされていたのが、強く印象に残っている。
「やや反対」の候補者なら、より上記の見通しが当てはまるはずだ。
アンケートでは「どちらとも言えない」という回答をした候補者が多かった。これは率直に言って、選挙へのマイナスを避けようとしたケースが多いだろう(勿論、ほとんど無関心という場合もある)。内心、「賛成」寄りでも「反対」寄りでも、とにかく自らの信念を貫く強い態度を、女性天皇というテーマについてはまだ固めていない。
ならば、直接・個別のアプローチは大きな効果を期待できる。
各種の世論調査で、女性天皇への支持が一貫して高い事実ぐらいは、有力な候補者であれば知っているだろう。しかし、その数字が単に数字のままならば、インパクトは弱い。だが実際に、良識ある国民が女性天皇をかくも熱心に願っている、という姿をちゃんと見せれば、そうした数字もにわかに迫力と説得力を増すに違いない。
「賛成」「やや賛成」の候補者の“背中を押す”ことの大切さは、改めて言うまでもないだろう。
今回のムーブメントを体験して国会に議席を得た議員たちの存在が、女性天皇を巡って“触らぬ神に祟りなし”的な政界の雰囲気に少しでも「新しい風」を吹かせるきっかけになるならば、恐らく皇室制度改正に向けた具体的な検討への着手という重大なタイミングと重なるだけに、その影響力は決して無視できないのではないか。
今だからできる、今しかできない、タイムリーで有効なムーブメントが、更に広がることを切に願っている。皇位の安定継承の為に!
追記
6月30日、「The Tokyo Post」に拙稿が公開されました。今後も毎月1回のペースで原稿を公開する予定です。
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