皇室典範特例法の附帯決議で求められた「皇位の安定継承」を巡る諸課題に応える為に設置された有識者会議。自らに与えられた本来の目的を、既に勝手に放棄している。
しかし、国民の代表機関である国会の決議に基づく政府からの委託を、民主的な正統性を背負わない一諮問機関が勝手に反故にすることが、果たして許されるのかどうか。
第10回会合(7月26日開催)に提出された「今後の整理の方向性について」には以下のような一文も。
「悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承については、将来、悠仁親王殿下の御年齢や御結婚をめぐる状況を踏まえた上で判断すべき事柄なのではないか」
公然たる“先延ばし”宣言以外の何ものでもない。後は野となれ山となれという、いい加減な態度は残念だ。
必ず1人以上の男子を生まなければ、“自分のせい”で長い歴史を持ち、憲法上も「日本国の象徴」であり「日本国民統合の象徴」とされる天皇・皇室を、永遠に途絶えさせてしまうという重圧を、
そのまま放置すれば、悠仁親王殿下の「御結婚」がいかに至難なものになってしまうか。普通の想像力があれば、誰にでも分かるはずだ。
にも拘らず、「将来…状況を踏まえた上で判断」とは、何たる無責任さか。
しかも、決してあってはならないことだが、皇位継承資格を持つ次の世代の皇族がたったお1方しかいらっしゃらない、極めて厳しい現実を直視すれば、万が一不測の事故などがあった場合にも、継承者を確保できる万全なルールが必要ではないのか(平成31年4月に、刃物を持った不審人物が、悠仁殿下を狙ってお茶の水女子大学附属中学校に侵入した事件を、忘れてはならない)。
たったお1方の皇族に皇位継承の将来を全て委ねる、危険この上ないルールに何も手を着けずに投げ出すとは、果たして“皇位”というもののの重みが分かっているのか。
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