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執筆者の写真高森明勅

国会で旧宮家案が憲法違反の「門地による差別」と指摘した議員



立憲民主党の津村啓介衆院議員。


現在の国会で、皇室に最も深く関心を寄せる政治家の1人だろう(勿論、具体的な考え方では私と食い違う部分もあるが)。


国会の場で、旧宮家案が憲法違反の「門地による差別」に当たる可能性を、誰よりも早く指摘されたのは、恐らく同議員ではあるまいか。


去る2月26日、衆院予算委員会・第1分科会で、「憲法上、門地による差別に反しない形で、旧宮家系国民男性が皇籍を取得する方法はあり得るのか」という趣旨の質問を、繰り返しされている。


この時、政府から明確な答弁は得られなかった(そのような方法があり得ないことは、もとより政府は先刻承知だろうが)。


しかし、5月10日の皇位の安定継承を目指す有識者会議の第4回会合で、憲法学者の宍戸常寿氏(東京大学法学部教授)と大石眞氏(京都大学名誉教授)が揃って問題視された点を、国会において“先行して”指摘された事実は、高く評価されるべきだろう(宍戸氏は、国民一般から皇族ではない皇統に属する男系の男子を別の扱いすること、及びその中から更に旧宮家系だけ別の扱いをすることの“二重”の「差別」にも、触れておられるが)。


同議員が、皇位継承問題といかに真剣に向き合っておられるかを、如実に示した出来事と言える。なお、同議員の指摘について、以下のような言及がある。


津村議員の指摘は『君臣の別』を巡る問題の現代版


「津村議員の指摘は『君臣の別』を巡る問題の現代版と評すべきものであるが、旧宮家末裔に皇籍を付与すべきといふ民間の議論においても、皇室と男系で繋がる旧宮家末裔の男子は

皇位継承資格を潜在的に有してゐると説かれるばかりで、管見の限り、津村議員の指摘をクリアする法理は提示されてゐない」(金子宗徳氏、『国体文化』4月号)と。


確かにその通り。


現在の憲法学界を代表し得る宍戸・大石両氏の指摘によって、そのことは更に動かし難いものになったと言えよう。同議員の更なるご活躍を期待したい。

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