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  • 執筆者の写真高森明勅

台湾の危機はそのまま日本の危機である現実を直視せよ!


台湾の危機はそのまま日本の危機である現実を直視せよ!

台湾の危機はそのまま日本の危機である現実を直視せよ!


わが国は被占領下に、自国の「戦力」不保持を強制する憲法を押し付けられた。しかし、それを現代に至るまで後生大事にそのまま維持して来たのは、他でもない日本人自身だ。


その結果、国際法上あらゆる独立国に認められている「自衛権」の行使が事実上、大幅に制約されたまま。それが、他国(=アメリカ)の「戦力」に全面的・絶対的に依存しなければならない構図を、避け難く作り出している。いつまでも、今のような状態に甘んじていて、いいのか。


例えば、具体的には台湾を巡る危機。次のような指摘がある(『賢慮の世界史』)。


「民主主義体制の将来を占ううえで外せないのが、香港と台湾の行方です。現在、『香港の統制を強化して奪還した中国が、次に狙うのは台湾である』というのが衆目の一致するところでしょう」(岡部伸氏)


「台湾海峡危機については、台湾は南北に背骨のように山脈が走る『山の国』です。したがって、台湾海峡側から上陸するだけでは全土を制圧できない。中国から見て、山脈の裏側から上陸して占領するには、日本の最西端、先島(さきしま)諸島の与那国島を制圧しておく必要があります。…その与那国島を制圧して維持するには、さらに先島諸島の宮古、石垣両島を確保する必要がある。


…すなわち、台湾侵攻は日中の大規模な武力衝突につながるわけで、習近平主席が日本との戦争を覚悟してまで台湾侵攻を決断するか。現実にはまだ、そこまで肚(はら)を固めていないと思いますが、日本はあらゆるインテリジェンスと外交的手段を通じてそれを防がなくてはならない」(佐藤優氏)


しかし、「あらゆる…手段を通じてそれを防がなくてはならない」のは確かにしても、それを「インテリジェンスと外交的手段」だけで、果たして防ぎ切れるのかどうか。万が一、それを防げなかった時にどうするのか。


危機管理の鉄則は「(予め)最悪を予想して備え、(事に臨んでは)最善を目指して対処する」こと。憲法によって「自衛権」を巡る“空白”が生じている。アメリカの長期的衰退と中国の持続的擡頭が予見される中、その空白をこのまま放置してよいのか。

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