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  • 執筆者の写真高森明勅

男子が生まれなければ離婚?男系固執の時代錯誤ぶり

更新日:2021年5月25日


友納尚子氏の『雅子妃 悲運と中傷の中で』には驚くような記述がある。


平成18年1月の「週刊新潮」に皇后陛下(当時は皇太子妃)の「離婚」説(勿論、ガセネタ)の発端になる記事が載った(同月5・12日号)。


その離婚説の背景について、このように書かれていた。


「『離婚』説が続出しているのは、皇室典範改正問題がからんでいるという指摘もある。


女性・女系天皇容認か、否かという論議がさかんに行われたが、万が一、皇太子ご夫妻(天皇・皇后両陛下)の離婚、さらに皇太子ご再婚で男子誕生ともなれば、問題が一挙に解決すると考える人々がいるのだという。はっきり言えるのは、有識者会議(小泉純一郎内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」)が報告書をまとめた2005年(平成17年)11月以降に、バッシング報道が激しくなってきた流れがあったということである」


その後、秋篠宮家にめでたく悠仁親王殿下が(平成18年9月6日に)お生まれになっても、「問題が一挙に解決する」なんてことはもとより無かった(にも拘らず当時、政府・国会は問題を先送りした!)。だからこそ今、改めて有識者会議が設けられている。


従って、仮に「皇太子ご再婚で男子誕生」という展開があったとしても(ご離婚を前提としたシナリオなんて勿論あってはならないが)、何の解決にもなりはしない。


しかし、それ以前に、男子がお生まれにならなければ即「離婚」という、天皇・皇后両陛下のご人格と、これまでの公(おおやけ)へのひたむきなご尽力を頭から否定する、男系固執の残酷さとアナクロニズムぶりに、普通の感性を備えていれば驚愕するだろう。


皇室に平然とそのような理不尽な扱いをしようとする国民が現にいるとしたら、一体、誰がご結婚によって、皇室の一員になろうとするだろうか。

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