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  • 執筆者の写真高森明勅

皇室経済法と「女性宮家」

更新日:2021年5月27日

高森稽古照今塾の受講生からこんな質問があった。


「皇室経済法は、少なくとも“一代限り”の女性宮家については、既に認めているんですか?」と。


同法第6条第3項第3号には「独立の生計を営む内親王」に支出される皇族費の金額が定めてある。「女王」についても、同項第5号に規定がある。

これらによって、同法が内親王・女王が「独立の生計を営む」可能性を認めていることが分かる。


ご独身であっても、宮号(みやごう)を賜って、独立の生計を営まれた桂宮(かつらのみや)の例がある(昭和63年1月1日より)。

三笠宮家のご次男だった宜仁(よしひと)親王のケースだ。


ちなみに、同宮家のご長男だった寛仁(ともひと)親王の場合は、ご結婚により独立の生計を営むことになられたが、やがて三笠宮家のご当主になられるはずだったので、宮号を賜らなかったものの、宮家に準じた扱いを受けておられた(結局、ご当主になられる前に亡くなられたが)。


ちなみに三笠宮家の現在のご当主は、崇仁(たかひと)親王妃百合子(ゆりこ)殿下。

将来、もし内親王・女王がご独身のまま、独立の生計を営まれることになった場合、それを事実上の“宮家”と見ても特に支障はあるまい(宮号を賜れば文字通り宮家)。ご独身なら当然、一代限り。そのような意味では、皇室経済法は既に“一代限りの女性宮家”を認めているとも言える。


しかし、これまで皇位の安定継承との関わりで議論されて来た「女性宮家」は、そのようなものではない。


未婚の女性皇族(主に内親王)が、“ご結婚後”も皇籍にお留まりになり、ご自身を当主とする宮家を設けることを意味する。「一代限り」の場合は、その宮家のお子様が男女いずれであっても、又何人おられても、宮家を継承したり、新たに創設したり出来ない(かなり不自然な)制度を指す。


勿論(もちろん)そのような制度では、皇位の安定継承や皇族数の減少には、何ら寄与し得ないことは言う迄もない。いずれにせよ、内親王などがご結婚後も皇室に残り得る女性宮家を創設する為には、やはり皇室典範第12条・第15条の改正が不可欠だ。

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