ひな祭りの男雛・女雛の並び方に関わって、天皇・皇后が左右どちらにいらっしゃるか。
先に、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館の壁画を手掛かりにして、明治23年(1890年)の歌御会始(うたごかいはじめ)を描いた絵では、既に天皇が(天皇ご自身の側から向かって)“右側”に座っておられたことに言及した。
ところが、次のような指摘があるので追加しておく。
「明治7年、新年の儀式が宮中で行われた際の写真が発刊されたばかりの新聞に載ったが、明治天皇は西洋式を採用され、向かって左(天皇ご自身の側から向かって右)に座っておられる。西洋式は右優先だからである」(永田久氏)と。
これが事実なら、もうその頃は、当時の国際儀礼に配慮して、“右上位”に転換していたことになる。古代シナ式から近代ヨーロッパ式へ(但しシナの場合、時代によって左右どちらが上位になるか、しばしば変更があった)。