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  • 執筆者の写真高森明勅

国民の中に入って行く皇室


 国民の中に入って行く皇室

天皇陛下のお誕生日に際しての記者会見でのご発言と、私が事前にロシア国営通信社「スプートニク」の取材に答えた内容が、畏れ多いがかなり重なったことに、少し驚いた人もいたようだ。


しかし、陛下のこれまでのなさりようや、“おことば”に常に注目していれば、(その深い思し召しはともかく)お気持ちのごく一端をおぼろげに拝察申し上げることは、皇室に心を寄せる国民であれば必ずしも不可能ではあるまい。


それでも、オンラインの「新たな可能性」を前向きに評価され、“国民の為に”ご自身が活用できるツールならば、躊躇(ためら)わず積極的に活用しようとされる、陛下の進取の気象に富むご姿勢は、凡人の想像を越えておられた。敬服の他ない。


陛下はお若い頃、国民が望む皇室像について記者に質問された時、次のように答えておられた。


「即答はできませんが、やはり天皇陛下(昭和天皇)や両親(上皇・上皇后両陛下)が目指されているように、国民とともに歩む皇室、国民の中に入って行く皇室だと思います」(昭和61年7月23日)と。


「国民とともに歩む皇室」からもう一歩、踏み込んで「国民の中に入って行く皇室」との答え方には、被占領下の昭和天皇の全国巡幸や、上皇陛下の各地へのご熱心なお出まし等を踏まえ、更に国民との触れ合いを深めようとされる意気込みすら、感じ取れる。


ならば国民は、陛下のそのお気持ちにきちんとお応え出来るか、どうか。

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