今年こそ解決すべき皇位の安定継承への取り組みについて、先に4つのシナリオを想定した。一先ずこれを元に、現時点での見通しを述べておこう。
政府は当初、③の特別職の国家公務員案で押し切るつもりだった。その場合、①の「男系男子」限定の“縛り”を見直して、女性・女系天皇と女性宮家を認める皇室典範の改正を求めても、③と①の“綱引き”になってしまう。
そうすると「足して2で割る」式に、②の「男系」の縛りは維持しつつ、「男子」限定だけを解除して、一代限りの女性宮家と男系の女性天皇を認める辺(あた)りで、妥協を強いられる可能性が高かった(最悪は③で決着)。
ところが、政府としては不本意なことに、③を差し当たり、取り下げざるを得なくなった。
そうすると、具体的な選択肢として①と②の綱引きという土俵を設けることも、必ずしも不可能ではなくなったのではないか(主戦場はそこかも。最善は①で決着)。だが②は、“現実主義”的な(?)政治家には魅力的に感じられてしまう危険性がある。これを「匍匐(ほふく)前進」(津村啓介衆院議員)と評価する向きもあるかも知れない。
しかし、一代限りの女性宮家なり女性天皇なりの、「次」の時代には早々と行き詰まることが、“初めから”誰にでも予測できる。実際上、皇位の「安定」継承には何ら繋(つな)がらない。だから、重大な決断を又ぞろ先延ばしするだけの、無責任この上ない「後は野となれ山となれ」プランと言うしかない。
結局は、④の「神風が吹く」(安倍晋三前首相)のをひたすら信じて(?)待つか、改めて「男系」の縛りを外して、女性天皇や女性宮家のお子様方にも皇位継承資格を認める①を目指すか、その二者択一にならざるを得ない。そのような、予(あらかじ)め行き詰まることが分かり切ったプランの為に、内親王方の“たった一度限り”の人生を犠牲にして戴くのは、余りにも申し訳ない。
だが政界の現状を見ると、残念ながら②に逃げ込もうとする政治家も、決して少なくないはずだ。あくまでも「匍匐前進」論(正しくは迂回又は回避論)を排し、皇位の安定継承への唯一の「正解」である①のシナリオを実現すべく、最大限の努力をしたい。
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