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  • 執筆者の写真高森明勅

神宮ご親拝を望まれた過去の天皇


即位儀式を締め括る「親謁の儀」

神宮ご親拝を望まれた過去の天皇

伊勢の神宮に初めてご親拝(しんぱい)された天皇は明治天皇だった。


しかし、それ以前にも、神宮へのご親拝を望まれた天皇がいらっしゃなかった訳ではない。史料によってその事実を知り得る最も古い例は、69代・後朱雀(ごすざく)天皇だ。


長久元(1040)年7月26日、突然の台風によって神宮の外宮(げくう=豊受〔とようけ〕大神宮)の正殿(しょうでん)・東西宝殿・瑞垣(みずがき)等がことごとく転倒。


天皇はその事を深くお嘆きになり、自ら神宮へのお出ましを希望された。しかし先例が無い事なので、その是非を側近の者(藤原資房〔ふじわらのすけふさ〕)に下問されたところ、事柄が余りにも重大なので、はっきりと妥当であるとの回答は得られなかった。


その為、お出ましはお取り止めになり、代わりに宣命(せんみょう)をご自身で書かれ、毎夜、神宮をご遥拝(ようはい=遠くから拝礼される事)の上、その宣命をお読みになったという(『百錬抄〔ひゃくれんしょう〕』に引用された資房の日記による)。

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