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  • 執筆者の写真高森明勅

ドキュメント・10月22日

更新日:2021年1月2日


ドキュメント・10月22日

10月22日、「即位礼正殿の儀」当日。

朝から強い雨。

これでは国旗を掲げられない。


午前10時、新宿プリンスホテル玄関でテレビ東京が手配してくれた車に乗る。「報道スペシャル・即位礼正殿の儀」などの番組に出演する為。六本木へ。テレビ局に入ると、まず、午前に行われた「賢所大前(かしこどころおおまえ)の儀」などの映像を拝見。その後、出演者と制作スタッフが集まって打ち合わせ。私と同じくゲストの女優、宮崎美子さんも。彼女とは平成29年の「昭和の日」のNHKスペシャルで共演した。聡明で穏やかで控えめ。


12時40分、本番スタート。いきなり儀式が始まるのが6分ほど遅れるハプニング。スタッフは慌ただしく、手書きで指示を矢継ぎ早に出してくる。我々出演者は、慌てず騒がず、淡々と落ち着いた風で、それに対応した(つもり)。


高御座(たかみくら)の御帳が開けられ、天皇陛下の輝くようなお姿を拝見した一瞬は、息が詰まる思いをした。神々しい瞬間だ。陛下はゆったりと御笏(おんしゃく)を侍従に預けられ、紙に書かれた「おことば」を読み上げられた。おことばの内容もさることながら、まさに「天皇」たるに相応しい風格を感じさせる、堂々たるご態度に感銘した。

御帳台(みちょうだい)の皇后陛下のご表情からは、さすがに極度の緊張感が伝わる。


安倍首相の「寿詞(よごと)」は、ご本人としては殆ど最高に近い出来だろう。5月1日の醜態を挽回した。…と思ったら、令夫人の服装が違和感を生んでいた事実を、後になって知った。


私は、この儀式に「美の祭典」という一面がある事を指摘した。建物、設(しつら)え、服装、そして何より所作、振る舞い、儀式の流れの美しさ。微かな木靴や衣擦(きぬず)れの音も美しかった。「古代と現代の融合」という表現もした。この日、この瞬間に、こうした形で立ち会える事を、光栄に感じた。儀式が始まる頃には、午前中はあれほど激しかった雨も止み、青空さえ見えた(虹が出たのを知ったのは後から)。


番組終了が午後2時。幸い、番組は好評を得たようだ。

まず、番組の初め頃に2本だか短いCMを入れただけで、儀式が始まってからは一切CM無し。これは他の民放が出来なかった事。次に、儀式が終わり、皇族方が退出されるご様子を、最後に高円宮家の承子(つぐこ)女王殿下がご退出になるまで、ちゃんと放送したのは唯一、テレビ東京だけだった。NHKでさえ途中で切って、カメラをスタジオに戻してしまった。又、余計なテロップを入れるなど、小技を極力使わない方針を貫いた。私の解説も喋り過ぎないよう、自制した(これが結構、難しい)。


以上の結果、視聴者には他局の放送で得られない臨場感や、厳粛な儀式自体が持つ迫力を、しっかり伝えられたようだ。更に、手前味噌ながら、私の解説についても、分かりやすい、的確、重厚など、高い評価を戴いた。恐縮。


次の番組の打ち合わせまで、同じビルの喫茶店で休憩。その間に、フジテレビから翌朝の番組へのVTR出演の依頼を受けた。取材内容が呆れるほど低俗なのと、急な連絡で時間的にも対応不可能なので、出演しない事にした。


午後4時45分から「ゆうがたサテライト」。内容は私の提案を軸に据えてくれた。「進化する即位礼」という切り口。他の番組には無い斬新な視点かと思う。限られた時間の中に、かなり濃密な中身を詰め込んだつもりだ。これは改めてブログで説明しても良いかも知れない。午後5時20分に終了。この日の出演は、実は5月1日の同局「剣璽等承継の儀」関連番組に出演した直後、チーフプロデューサーから早々と依頼されていた。何とか大役を果たせてホッとする。


その後、次の番組の為に新橋の日本テレビに移動。BS日テレ「深層NEWS」。これも生出演。ゲストは、ベテラン皇室ジャーナリストの久能靖氏。京都産業大学名誉教授で皇室に造詣が深い所功氏。憲法学者で国士舘大学特任教授の百地章氏。読売新聞編集委員・論説委員の飯塚恵子氏。飯塚氏だけはよく存じ上げないが、私を除いて豪華メンバー。


司会は辛抱次郎氏。放送は午後10時から11時。同じ時間帯で進行している「饗宴の儀」の様子も折々紹介しながら、皇位の安定的な継承を巡る討議。百地氏は「男系男子」限定論。所・久能両氏は「女性天皇」容認論。私は改めて言う迄もなく、女性天皇だけでなく「女系天皇」も認めなければ、皇室の存続は不可能になる、という立場。


番組的には百地氏と私を対立させて、所氏らの論に着地させようとしているのか、と勝手に邪推していた。しかし議論が始まると、百地氏と所氏がやたらと対立していたのは意外だった。


番組をご覧戴いた方は、百地氏の「国会議員アンケート結果」(週刊朝日が実施)の紹介の仕方に驚かれたはずだ。私は事前に同じデータを分析していたので、その場で直ちに問題点を暴露したものの、殆どトリックに近い。これも別にブログで取り上げても良いかも知れない。


私自身としては結構楽しく討議に加わった。辛抱氏は、司会者としての力量は並みではないものの、テーマについて勉強不足が露呈していたのは残念。同番組での私の発言の一部などは翌日、「日テレNEWS24」でも紹介された。


終了後、日本テレビが手配してくれた車で帰宅。饗宴の儀の影響で高速道路の規制が続いており、しばらく高速に入れなかった。わが家に着いたのは23日の午前0時半過ぎ。このところ、風邪気味が長く続いている。体調に気を付けよう。


25日にはBS朝日の「激論!クロスファイア」(司会は田原総一朗氏)の収録。対論の相手は安倍首相のブレーンと称しておられる八木秀次氏。放送は27日午後6時~6時55分の予定という。

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