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  • 執筆者の写真高森明勅

「一世一元」プラス「ご譲位」


「一世一元」プラス「ご譲位」

「一世一元」プラス「ご譲位」

元号の歴史を大きく区分するとどうなるか。

最大の区切りは「明治」以降とそれより前。明治より前は様々な改元があった。次の通り。


①代始(だいはじめ)改元 ②祥瑞(しょうずい)改元 ③災異(さいい)改元 ④革年(かくねん)改元 ⑤その他

これらの中から明治以降は①だけを残した。それが「一世一元(いっせいいちげん)」制。その時に、併せて「終身在位」という新しい制度に変更した。従って、明治・大正・昭和は「終身在位」+「一世一元」という形だった。その場合、改元は必ず先帝(せんてい)の崩御(ほうぎょ)に伴う「哀(かな)しみの改元」。


ところが、それが「令和」から変わった。「ご譲位」を前提にした改元となった。「ご譲位」+「一世一元」。これは元号の歴史の中で初めて。令和から元号は“次の”歴史のステージに移った。この組み合わせによって、「慶(よろこ)びの改元」が実現した。それが、国民の気持ちをいかに高ぶらせ、人々の自然な一体感を生み出すか。私たちはそれを目の前に見た。


先日の日本教師塾の研修会で、「元号のメリット」について質問された。今回のような国民的高揚と一体感をもたらす力こそ、元号の効用の小さくない1つだろう。それを眼前に見ながら、更に自分がそのただ中にいながら、かえって身近過ぎて気付かないようだ。一世一元制は、「ご譲位」との組み合わせによって、大切な魅力を新たに付け加えたのではないか。

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