「天皇の元号」=「国民の元号」
元号は国内であまねく使用されるべきもの。だから、地域や階層、支持政党などの違いを越える、公共性・普遍性が求められる。従って、特定の政権や政党・政治家などの“色”が着いてはいけない。
憲法(第4条)の制約と法律(元号法)の規定により、「政令」によって定められるのはやむを得ないにせよ、元号の背景にある歴史に照らしても、単なる「内閣の元号」になってしまってはならない。
そこで「平成」への改元に当たり、普通の政令制定のプロセスには無い2つの手順が、閣議決定の“前”に付け加えられた。
1つは、国民を代表する国会の衆参両院議長の意見を聴く事。もう1つは、「国民統合の象徴」である天皇にお伝えし、「ご聴許(ちょうきょ)」を得る事。これらによって、歴史的な「天皇の元号」という伝統を守ると共に、「国民の元号」としての性格も明らかになった。それでこそ、元号が本来、備えるべき公共性・普遍性が担保される。
「令和」の改元についても、断片的な情報を繋ぎ合わせると、そうした配慮はほぼ踏襲されたように見える。