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  • 執筆者の写真高森明勅

光厳天皇の「祈り」


光厳天皇

光厳天皇の「祈り」

光厳(こうごん)天皇というお名前をどれだけの人が覚えているだろうか。北朝第1代の天皇だ。皇太子時代には第95代・花園天皇から厳しい訓戒の書『カイ(言+戒)太子書(かいたいしのしょ)』を授けられている。


長い皇室の歴史でも殆ど類例を見ない、数奇なご生涯を辿られた(地獄を二度も見た天皇、とも評される)。その光厳天皇に印象深い御製(ぎょせい)が伝えられている。

神にいのる 我(わが)ねぎ事(ごと)の いささかも 我ためならば 神とがめたまへ

「ねぎ事」とは「(神への)願い事」。

だから、自分の神への願い事に、ほんの僅かでも自分自身の為という部分が含まれていたら、どうか神よ、厳しくお咎(とが)め下さい―とお詠(よ)みになっているのだ。天皇の「祈り」に私(わたくし)無し。その本質を端的に詠み上げられた御製だ。


激動の時代に、まさにその渦中にあられた天皇の御製だけに、一層、胸に迫る。

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