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分断を超えて―天皇陛下御在位30年記念式典

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 2019年2月26日
  • 読了時間: 2分

2月24日、天皇陛下御在位30年記念式典。

政府主催の行事ながら、

式典の趣旨に照らして当然、

陛下のご意向も反映されている。

例えば「歌声の響(ひびき)」。

陛下がお詠みになった琉歌(りゅうか)に

皇后陛下が曲を付けられた作品だ。

それを沖縄出身の歌手、三浦大知さんが歌った。

この琉歌の由来は、メディアでも繰り返し

取り上げられた。

皇太子時代の昭和50年に初めて沖縄を訪れられた時

(ひめゆりの塔の前では反対派に火炎ビンを投げつけられた一方)、 ハンセン病療養所を見舞われた際に、 入所者の方々から歓迎を受けられた (惨〔むご〕い差別を受けて来た入所者の皆さんにとって、

お見舞いがどれだけ嬉しかったか!)。

その折のお気持ちを詠まれた御作。

又、国民代表の1人として、

今も苦しみを抱える福島県の、

内堀雅雄知事が特に選ばれてお祝いと

お礼の言葉を述べた (今年の歌会始で披露された「ひまわり」の御製〔ぎょせい〕 を取り上げたのは、さすが)。

ご在位の30年間、

ひたすら国内の「分断」を乗り越えようと

努めて来られた陛下のお気持ちに沿った人選であり、

プログラムだった。

式典が終わって、壇上を去られるに当たり、

陛下は会場内を見渡しながら、名残(なごり)

惜しそうに御手を振られた。

私には、あの時のお姿が最も深く印象に残っている。

天皇皇后両陛下

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