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  • 執筆者の写真高森明勅

国民民主党、改憲へのビジョン

更新日:2021年1月24日


「リベラル」の正体

12月7日、国民民主党が同党の憲法調査会(山尾志桜里会長)での討議を踏まえ、「憲法改正に向けた論点整理」を公表した。野党が憲法全体に亘(わた)る改正構想を、責任ある形で提案したのは、画期的な出来事だろう。


その主なポイントは以下の通り(産経新聞12月8日付による)。


〔1〕人権保障(サイバー空間での個人の尊重。同性婚の保障)

〔2〕地方自治(住民自治・団体自治の明記。地方自治体の「課税自主権」の明記)

〔3〕9条(制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊保持の明記)

〔4〕検討すべき課題(安定的な皇位継承。緊急事態条項の制度化)


これらのうち、〔3〕については、次のような記事になっている。


「憲法9条をめぐっては、自衛権行使の範囲や自衛隊の保持・統制のルールを規定する必要性に触れつつ、①9条2項を改定し、制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊の保持を明記する②9条1、2項を維持した上で、制約された戦力、交戦権の行使を認める例外規定の設置―の2つの条文イメージを列記した」と。


①②どちらの案も、安倍前首相が唱えた「9条1、2項を残して、追加条文で自衛隊をただ明記するだけ」案より、遥かにまともだ。しばしばタブー視されがちな緊急事態条項も、決して誤魔化さず、検討すべき論点に盛り込んでいるのは注目に値する。


更に、皇位の安定継承についても、検討事項にしっかりと組み込んでいて、有難い。但し、これについては、恐らく憲法それ自体の改正は、特に必要ないだろう。憲法に「皇位は世襲」(2条)とあるのを前提に、皇室典範で継承資格を「男系の男子」(1条)に限定している、時代錯誤的な規定を改正すれば、それで解決する。


同党は「移動憲法調査会」のような形で、全国で国民の声を直接、聴く機会を設けたい、としている。すこぶる意欲的だ。それが実現したら、各地の有志はどうか積極的に参加されることを願う。戦後日本にとって、最大の政治課題だった「憲法改正」。このテーマが、野党サイドからの大胆な提起により、いよいよ新しい局面を迎えようとしている。


私ら国民は、責任感と主体性を持って、この世紀の大事業を“自ら”担おうではないか。

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