• 高森明勅

皇統問題、又もや見送り?



共同通信の記事(11月7日21時07分配信)。


「国会が速やかな検討を求めている安定的な皇位継承策に関し、政府内で結論提示の見送り論が強まった。

複数の政府関係者が7日、明らかにした。

男系維持か女性・女系天皇容認かで国論は二分されており、政府として明確な案をまとめるのは時期尚早との判断に傾いた。

次善の策として、女性宮家創設を含む皇族数減少対策に踏み込めるかどうかが焦点となる。

…菅義偉首相はデジタル庁創設や規制改革へ優先的に取り組む方針で、象徴天皇制の根幹に関わる重いテーマに政治的な体力を使うのを避けた形だ」と。


菅内閣は、皇位の安定継承への対応を見送って、目玉政策の1つであるデジタル庁の創設などを優先する(!)つもり、というニュースだ。


呆れ果てる。


これは、国会(つまり国民)との大切な約束を違(だが)えることになる。

だけでなく、皇室典範の改正をこのまま放置すれば、皇室それ自体の存続を危うくする。


デジタル庁設置などとは問題の重みが全く異なる。

国家・国民にとって最重要な課題をどこまで蔑(ないがし)ろにするつもりか。

今になっても「時期尚早」という感覚が理解し難い。

そもそも、これまでの世論調査の結果に照らして、「国論は二分されて」いるなどという状況が一体、どこにあるのか。

私は以前、政府が皇位の安定継承への検討を切り捨てて、もっぱら皇族数の減少対策、それも目先だけの姑息なやり方に逃げ込む恐れがあると、警鐘を鳴らした。


しかし、今回の報道では、にわかに信じがたいが、その皇族数の減少への目眩(くら)まし的な手当てすらも、平然と見送ってしまうかも知れない。


政府の、皇室の現状への危機感の無さ、国家の根幹に関わる重大テーマから(僅かな抵抗を恐れて)逃げ出そうとする臆病さに、一瞬、絶望的な気分に襲われる。


このところ、自民党内の男系派グループが相次いで、首相に接触していたのが、悪い形で影響したのか。


それにしても、一点、興味深いことがある。

それは、男系派の動きに対して、政府が皇統問題への取り組みそのものを先送りする姿勢は見せても、決して彼らの「提言」をそのまま採用しようとはして来なかった、という事実だ。

これは何を意味するか。


それは、政府が既に「正解」を理解しているということ。

だから、男系派が熱心に唱える方策(旧宮家案)には一顧だに与えない。

しかし、その反発が嫌なので、いつまでも正解に手を着けるのを見合わせている。

そういう構図が見えてくる。


しかし、これ以上、無責任に問題の先延ばしを続けることは許されない。

残された時間はもはや限られている。


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