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  • 執筆者の写真高森明勅

皇位継承問題の「前提条件」

更新日:2021年1月21日

皇統問題の「前提条件」

皇位継承問題は突き詰めると“1つの問い”に尽きる。これまで「男系」継承を支えて来た側室が不在で、非嫡出(庶出)による皇位の継承という選択肢が排除された条件下で、皇室の尊厳、「聖域」性(あるいは、国民の皇室への素直な敬愛の気持ち)を守りながら、いかにして将来に向けた皇位の安定継承を目指すか。この問いは、3つの要素から成り立つ。


(1)前提条件=側室不在、非嫡出による継承否認。 (2)最大の留意点=皇室の尊厳・「聖域」性(国民の皇室への素直な敬愛の気持ち)を守る。 (3)最終目標=皇位の安定継承


ところが、先に紹介した「皇室の伝統を守る国民の会」(三好達会長)のリーフレット『なぜ皇位は男系で継承されなければならないかQ&A』(『日本の息吹』9月号に掲載)では、驚いたことに前提条件(1)を全く無視していた。それで「男系維持」を訴えても、残念ながら何の説得力も持ち得ない。

これは、そもそもの“スタートライン”である(1)について、何の知識も無かったのだろうか。もしそうだとすれば、率直に言って無知の程度が激し過ぎる。それとも、知っていながら敢えて伏せたのか。そうだとすれば、悪質なトリックに近い。最終目標(3)とすべき、皇位の安定継承には“決して”繋がらない方向に、世論を導くことになるからだ。


同リーフレットに限らず、(1)と真正面から向き合おうとしない議論は全て、「皇位の安定継承」とは無縁(!)と心得るべきだ。この前提条件と、どれだけ誠実かつ真剣に取り組んでいるか。それが議論の水準を見極める“目安”になる。

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