台湾関係で、この件は比較的広く知られているだろうから、改めて取り上げる迄もないかも知れない。でも、念の為に。
唐鳳(とうほう、オードリー・タン)デジタル担当政務委員(上級大臣)のことだ。又、藤重太氏の著書(『国会議員に読ませたい台湾のコロナ戦』)から引用させて戴く。
「(台湾での)全国のマスクの在庫一覧システムを作るための情報を民間IT企業に公開し、政府の情報を国民に効率よく伝えるために活躍したのが、唐鳳政務委員(デジタル担当大臣)だ。…彼女は8歳からコンピュータープログラミングに興味を持ち、ずば抜けて知能が高く、そのことで現行の学校教育になじめず14歳で中学校を中退しており、高校にも大学にも進学していない。
独学でプログラミングを学び16歳で台湾明基公司(BenQ)などIT企業の顧問など要職を務め、一度33歳でリタイアを宣言している。その頃、行政院(内閣)国家発展委員会のバーチャルワールド発展法規調整計画の顧問に就任し、国家のデジタル社会での役割や可能性などについてアドバイスしている。
その1年後の35歳の時に行政院政務委員に任命された。彼女も国会議員ではないが、国家のデジタル化戦略は唐鳳にしかできないということで国家が進むべきIT・デジタル社会の構築の担い手として活躍するようになったのである」
彼女は身体的には男性として生まれながら、自らの意識では女性という齟齬(そご)を抱える、ハンディキャップもあったようだ。
彼女が就任した政務委員というのは、(藤氏によると)台湾で3種類ある大臣ポストの中で、部長(大臣)や主任委員(大臣)より上位にある“上級大臣”らしい。わが国に彼女のような天才が存在していたとして、中学校中退の学歴しか持たない人物を、上級閣僚に迎え入れる政治的な柔軟性、社会的な度量を、果たして期待できるだろうか。
それにしても、アナログ人間の私が言うのは変かも知れないが、日本のIT担当大臣とのギャップが激しい。これから益々、国益の面で“決定的に”重要になってくるはずのこの分野に対して、日本政府が軽視している証拠だろう。
Comments