古代日本の男系・女系
古代日本とシナ文明の違いの1つは双系社会か男系社会かの違い。古代の日本が双系社会だった事実は、今や学界の広く認めるところだろう。近頃刊行された著書でも以下のように触れられている。
「古代においては必ずしも男系優位ではなかった、と現在の歴史学界では言われている。古代は『双系制社会』であり、父方・母方の双方の親類と密接な関わりを持って、政治的な地位や財産を双方から受け継いだ。
日本の古代社会を双系制社会とみなす根拠として、まず明確な婚姻居住規制の欠如が挙げられる。すなわち、夫婦が男性の側の家で生活するのか、女性の家で生活するのか、ハッキリ決まっていないということである。
次に男女均分の相続慣行である。子どもに財産を分ける場合に、基本的には男女平等に分配した。男に多く譲るとか、そういうことがない。母姓継承や父母姓継承の存在も指摘されている。政治的な地位の継承における母方の血統の重要性も、古代の日本が双系制であることを裏付けている。これは、古代の天皇の婚姻関係を見ると良く分かる」(呉座勇一氏『日本中世への招待』令和2年2月)