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  • 執筆者の写真高森明勅

「立皇嗣の礼」は辞退できない


「立皇嗣の礼」は辞退できない

「立皇嗣の礼」は辞退できない


4月に予定されている「立皇嗣の礼」は、前代未聞のいささか不思議な儀式。だから秋篠宮殿下ご自身が辞退されてはいかが、という声も耳にする。或いは秋篠宮殿下ご自身は、(自ら“皇太子”というお立場との違いを自覚され、又、年齢的な制約によってご即位されない可能性が高いことから)個人的には辞退されたいお気持ちかも知れない。


しかし、それは出来ない。何故か。


この儀式は憲法に定める“天皇の国事行為”として行われるからだ。改めて言う迄もなく、国事行為は専ら「内閣の助言と承認」によって行われる(3条)。つまり、内閣の“意思”に基づく。しかも、主体は皇嗣ではなく「天皇」。その儀式の中身も、立太子の礼に準じて、天皇陛下が「文仁親王が(皇太子ではなく)皇嗣であることを、広く内外に宣明」なさる“おことば”をお述べになり、それを受けて秋篠宮殿下がご決意を表明されるものになろう(その後に首相の祝賀の寿詞〔よごと〕も)。


だから、既にその挙行が閣議決定された(平成30年4月3日)以上、もし秋篠宮殿下がこの儀式を辞退されたら、畏れ多くも天皇陛下ご自身が「憲法違反」を犯されることを意味する。


天皇という地位の尊厳と、わが国の法的秩序に求められる権威が、決定的に傷つけられる結果になる。だから、それはあり得ない。なお、新型肺炎感染の恐れから、この儀式(主に饗宴)の縮小が検討されているらしい。

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