政府は皇室の存続に無関心?
皇室の存続が危うい。その根本的な理由は、改めて言うまでもなく、側室不在で非嫡出の皇位継承を否認しながら、同時に継承資格を「男系男子」に限定するという、前代未聞の“いびつ”な制度を維持していること。
だから、解決策はシンプルだ。側室を復活して非嫡出の継承資格を再び認めるか、そうでなければ、元々非嫡出の継承可能性を前提に、明治になって新しく採用された「男系男子」という“縛り”を見直すか。そのどちらか。誤解があってはならないのは、一部で唱えられていた旧宮家系国民男性の皇籍取得というかなり無理な方策は、皇室の「聖域」性を損ないかねない一方で、皇室の将来にわたる存続そのものには、殆ど役に立たないという事だ(傍系の宮家も側室に支えられて来た)。
又、女性宮家を創設する案も、「男系男子」という限定を維持したままでは、殆ど意味を持たない。今の日本で、側室復活・非嫡出の継承容認への制度改正が不可能なのは、改めて言うまでもない。
ならば、選択肢は2つ。皇室の存続の為に「男系男子」限定を見直すか、皇室の存続それ自体を断念するか。わが国の政府は、どうやら後者を選ぼうとしているように見える。
読売新聞(2月16日付)の一面トップに「女性・女系天皇 議論せず/政府方針 皇位継承順位 維持」との記事。
「政府は、皇位継承のあり方をめぐる議論で女性・女系天皇を対象としない方針を固めた。男系男子が皇位を継ぐ皇室制度を維持する。秋篠宮さまが継承順位1位の皇嗣となられたことを広く示す『立皇嗣の礼』が行われる4月下旬以降、こうした考えを確認する見通しだ」と。
明らかに政府サイドからのリーク。読売に流した手口から考えると、「議論」が本格化する前に、「男系男子」維持が既定方針であるかのように印象付けたい、という政府の思惑が透けて見える。旧宮家系男性の皇籍取得という明らかに無理な方策は排除する一方、危機の根源にも手を着けない。典型的な問題の「先送り」ではないか。
しかし内親王方は、これからご結婚のご慶事のたびに、皇室から出ていかれる。次の世代は、悠仁親王殿下“ただお1人”になる。そうした状況が予(あらかじ)め容易(たやす)く見通せて、しかも必ずお1人以上の男子を生まなければ、皇室そのものが跡絶(とだ)えてしまう、という想像を絶する重圧があれば、悠仁殿下のご結婚自体、とてつもなくハードルが高くなるだろう。
私はこれまで、政府は少なくとも皇室の存続は願っているはずだと考えていた。その前提を疑う必要が出て来た。
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