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  • 執筆者の写真高森明勅

「側室」不在という現実


「側室」不在という現実

「側室」不在という現実

将来に向けて皇位の安定継承を目指す場合、前提条件として必ず頭に入れておく必要があるのは、既に側室制度が廃止され、法的にも非嫡出の継承資格が否認されている、という現実だ。その上で、明治以来の「男系男子」という縛りを今後も維持すればどうなるか。答えは明らかだろう。


「女系継承を認めず、しかも庶子(非嫡出子)継承を認めないと云ふ継承法は無理をまぬかれぬ」


「皇庶子の継承権を全的に否認することは、皇位継承法の根本的変革を意味する」(神社新報社政教研究室編『天皇・神道・憲法』昭和29年)


「『これまでの男系継承の維持の上で、非嫡出子による継承が大きな役割を果たしてきたことを考えれば、一時的に男系男子の皇位継承者が確保されたとしても、非嫡出子による継承がない限り、男系、男子の継承はいづれ難しくなる』といった主張は一定の説得力を有してゐる。


ゆゑに『なぜ、女帝排斥、女帝不要を説く論者らが、庶子容認がもつ、この点のメリットを前面に押出そうとしていないのか』(奥平康弘東大名誉教授)といった皮肉めいた批判も存在するのである」(神社新報編集部『皇室典範改正問題と神道人の課題』令和元年)


側室の不在と非嫡出による継承の可能性が喪われた事実の“重み”を、真正面から受け止めた誠実な言及だろう。

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