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  • 執筆者の写真高森明勅

団塊ジュニアの“ジュニア”は…

更新日:2021年3月2日


団塊ジュニアの“ジュニア”は…

7月13日、明治聖徳記念学会主催、 國學院大學研究開発推進センター共催の公開シンポジウム「戦後の神社神道」が開催された。


その中で、宗教学者で國學院大學教授の石井研士氏が神社の将来について、かなりリアルでシビアな予測を述べられた。一般に、未来予測はしばしば当てにならない。しかし、例外的に人口動態については、かなり正確な予測が可能。だから、それを元に早めに手を打つ事も出来る…はずった。ところが、わが国の場合、早くから予測されていた少子化に対し、有効な手立てを講じる事が出来ていない。


石井氏は、厚生労働省の「人口動態統計」による「合計特殊出生率・出生数の変化」(昭和22年~平成29年)をグラフ化して参加者に示された。それを見ると、昭和22~24年の出生率・出生数が極めて高いのが一目瞭然。いわゆる第1次ベビーブームだ。よく知られているように、この間に生まれた人々は、その数の多さから「団塊の世代」と呼ばれる。それから24・5年経った昭和46~49年。再び出生数が(前回ほどではないが)多くなる。第2次ベビーブームだ。これは団塊世代が結婚して子供を生んだ結果。この時に生まれた人々を「団塊ジュニア」と呼ぶ。


但し、出生率は横ばい又は低下した。その為に、第1次ほどの出生数にはなっていない。第1次での最高出生数が2,696,638人(昭和24年)だったのに対し、第2次の場合は2,091,983人(昭和48年)が最高だった(ちなみに直近の平成30年の出生数は918,397人)。その後も出生率は下がり続け、団塊ジュニアが結婚して子供を生む頃になっても、出生数は同じように減少している。これは、団塊ジュニア世代が適齢期を迎える平成初頭~10年代迄に、効果的な少子化対策を打てなかったことを意味する。日本は少子化を緩和する最大のチャンスを既に逃してしまった。


石井氏は、第2次ベビーブームに続く第3次ベビーブームが無かったのが「現在の少子化の大きな原因」という言い方をされた。更に、都市圏を除いて、少子化だけでなく、人口流出による住民の減少傾向も続く。その結果、地域共同体に支えられて来た全国の神社はどうなるか。同氏が日本創世会議のレポート(平成25年「消滅する市町村896」)を元に、消滅の可能性がある自治体に位置する神社数を算定された結果は、驚くべき内容になっている(但し、平成25年のレポートを元にしているので、原発事故があった福島県はデータに含まれていない)。


全国神社の約4割(41%)は令和32年迄に消滅する可能性がある自治体に位置しているのだ(神社数にして31,184社)。


取り分け秋田県の場合、県内の神社の99.9%が消滅可能性自治体に位置している。その他、神社の50%以上が消滅可能性自治体に位置する地域を列挙すれば、以下の通り。北海道、岩手県、宮城県、山形県、石川県、山梨県、兵庫県、奈良県、和歌山県、島根県、徳島県、愛媛県、高知県、長崎県、大分県。かなり深刻な見通しだ。

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