• 高森明勅

立憲的改憲、次のステージへ



立憲的改憲が1つ上のステージに上がった。

それを実感させたのは朝日新聞(6月4日付)の記事。

その4面に「『立憲的改憲論』静かな胎動」という大きな記事が載った。

従来、“護憲の牙城”のように見られていた同紙に掲載された、「改憲」への好意的な記事として画期的だろう。

と言うより、旧来型の硬直した「護憲vs改憲」という対立図式が、既に過去のものになりつつあるのを、見事に映し出している。

勿論その中には、旧式の護憲論をいまだに引き摺っているらしい、「憲法学者」の意見も“公平”に取り上げている。

「いまの野党の力では実現可能性はない。

他の改憲論と一緒くたにされ、国民が望んでいない憲法改正の論議が国会で進むことになる」

「新たな条文が加われば、さらに拡大解釈されるリスクが高まる」と。

それが長谷部恭男氏らの意見なのかどうかは知らない。 しかし、前者は政治戦略論だ。 素人の憲法学者が口を挟んでも説得力はない。 自衛隊「明記」加憲にどう対峙すべきか、という危機意識が皆無。

自民党内にも、立憲的改憲を理解し、共鳴する政治家はいるはずだ。

しかも他の政治課題ならともかく、憲法というテーマの場合、野党の真っ当な対案には、最大限、謙虚に耳を傾ける必要がある。 「憲法」学者なのに、そんな事も分からないのだろうか。 後者はもはや何をか言わんやだ。

どんな条文が出てくるかもまだ固まっていない段階で、「新たな条文が加われば…リスクが高まる」などと“脊髄反射的”に断言するとは。

学問的な慎重さを欠いた無責任な放言と言わざるを得ない。 それでも憲法「学者」なのか。

それはともかく、この記事は「5月3日の憲法記念日に東京都内であったイベント」での立憲民主党代表の枝野幸男氏の発言を“軸”にまとめられている。

「私は立憲的改憲(の立場)であり、我々は護憲(政党)ではない」

「ほぼ憲法論は、山尾(志桜里)さんが言うことと私の言うことは一緒だ」等。

これに国民民主党の玉木雄一郎共同代表の「各党の立場に多少の違いはあっても、権力をしばる観点からの改憲論は共通点が見いだせる」といった発言を絡ませる。

記事中の山尾氏の護憲派に向けたメッセージも貴重だ。

「これまでの護憲派が大事に思っている憲法の価値、9条の神髄を守るために条文を変える時代にきている」と。

憲法学者でゴー宣道場のゲストとして参加して下さった山元一慶応大学教授のコメントも「改憲論にも多様な考え方がある。改憲・護憲双方に考え方のグラデーションがあることを

前提に、一緒に議論する場を作っていくきっかけになればいい」と前向き。

とても良い記事に仕上がっている。

何より嬉しいのは、「5月3日の…イベント」こそ、主要メディアの1つである(しかも護憲寄りの)朝日新聞に、立憲的改憲を真正面から取り上げるに値する(ステージに既に移行している)と判断させた、直接の契機だったらしい事だ。

その「イベント」とは勿論、拡大版ゴー宣道場に他ならない。

但し率直に言って、あの日にもし枝野氏の登壇がなければ、立憲的改憲を“次”のステージに押し上げる迄のインパクトは、持ち得なかっただろう。

その枝野氏の登壇を可能にしたのは、ご本人の熱意の外に(様々な要素があるだろうが)、

公平に見て小林よしのり氏の情熱によるところが最も大きい。 立憲的改憲は確実に影響を拡げている。 一区切りとなる九州道場はぜひ成功させたい。


画像:日仏共同テレビ局France10及川健二

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