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  • 執筆者の写真高森明勅

帝国憲法下の「緊急事態条項」発動の実例

更新日:2020年12月5日

今の憲法には緊急事態条項を欠く(せいぜい参議院の緊急集会を規定した54条2項くらい)。


一方、帝国憲法には勿論、それがあった。

緊急勅令を定めた8条。

戒厳の布告を定めた14条。

戦時などの非常大権を定めた31条。 緊急財政処分を定めた70条。 これらが過去に発動された実例がある。


8条が発動されたのは、大正12年(1923)の関東大震災と昭和2年(1927)の金融恐慌の際など。


14条は、明治38年(1905)の日比谷焼き打ち上事件、関東大震災、昭和11年(1936)の2・26事件の時。


70条は関東大震災の時に発動された。 こうした緊急事態条項の発動によって、独裁政治に陥り、そのまま憲法が停止されたり、議会が閉鎖されたりする事は、無かった。


むしろ、そのれらの条項なくして、憲法のルールを守りながら、時々の危機に実効的に 対処し得たかは、大いに疑問だ。 憲法は平時だけでなく、非常時にも権力を統制できる規範でなければならない。


画像:Attila JANDI / Shutterstock.com

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