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  • 執筆者の写真高森明勅

5月1日ご即位?

ご譲位の日取りを巡る皇室会議が12月1日に開催されるという。 政府・与党は、ご譲位の恒久ルール化に抵抗し、 私が提案した3要件中、「皇室会議の関与」に “特に”強く反対していた。

懐かしい話だ。 彼らがいかに非常識な事を平気で言っていたか。 今となっては明らかだ。

首相官邸が最初、推し進めようとしていた、 再来年1月1日に皇太子殿下のご即位というプランも、同じ。 その年の1月7日が昭和天皇の30年目のご命日に当たり、 大切な「昭和天皇30年式年祭」が執り行われる。 その1週間前に今上陛下にご譲位を願うのは余りにも非常識。 私はあり得ないと言って来た。


いつの間にか、その線はさすがに消えた。


と思っていたら、今度、官邸は先延ばしをして 5月1日ご即位を有力案として押し出して来た。


これも非常識。


皇位継承儀礼として重大な大嘗祭(だいじょうさい) を何と心得ているのか

(大嘗祭の詳細は拙著『天皇と民の大嘗祭』 展転社を参照)。


大嘗祭では、その度ごとに亀の甲羅を灼(や)く 特殊な占い(亀卜、きぼく)で悠紀(ゆき)・主基(すき)両地方 を選び(平成の大嘗祭では悠紀地方が秋田県、主基地方が大分県 だった)、地元の国民の田んぼで収穫された新穀を献上。 それを天皇が皇祖をはじめ神々に供え、ご自身も召し上がる。 それがこの祭祀の核心だ。


国内各地の田んぼの田植えは、 およそ4月下旬から6月上旬にかけて行われている。 5月1日ご即位なら、 それ以前に田植えを済ませた地域は、どうなるのか。


予め亀卜の対象から除外されるのか。


それとも、既に田植えを済ませたまま、選んでしまうか。


どちらも、国民統合の象徴たる天皇の 新しい時代の幕開けを飾る祭儀に、相応しくない。


3月には国会で予算審議があるとか、 その年の4月には地方選挙があるとか、 政府はそんな事を持ち出して、5月に延ばす理由にしている。 しかし、そもそも次元が違う話だ。

大嘗祭の“重み”が分かっていないのか。


しかも、予算審議は3月上旬に終わるし、 地方選挙も4月第2日曜日(4月14日)

に行われる見込み。 どちらも時期的にも重ならないはずだ。 政府は底抜けに無知でなければ、 皇室を敢えて軽んじているのか。 11月22日に、急に毎日放送の「ちちんぷいぷい」 に出演する事になり、以上のような事を喋るつもりが、 時間の制約でその一端にとどまった。 皇居の脇にあるパレスホテルにて財界関係の集まりで 午後2時まで講演した後、2時15分に赤坂のスタジオに入るのは、 さすがにタイトだった。 他にも新聞や通信社からの取材や原稿執筆の依頼、 テレビ番組の出演依頼などが来ている。

様々な制約の中、少しでもまともなメッセージを届けたい。

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