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執筆者の写真高森明勅

聖武天皇のお言葉から

更新日:2021年3月19日

過日、図らずも馬淵澄夫氏の口から、聖武天皇のお言葉に改めて触れる機会を得た。

そこで、歴代天皇に受け継がれた精神を拝する緒(いとぐち)として、甚だ非礼ながら、聖武天皇のお言葉を断片的に紹介しよう。

「冤(あた)を除き祥(よきしるし)を祈ることは、必ず幽冥(ゆうめい、神仏)に憑(よ)り、神を敬ひ仏を尊ぶることは、清浄を先とす」(神亀2年〈725〉7月17日)

「責め深きことは予(われ)に在(あ)り」

(同年9月22日) 「朕(われ)は百姓(はくせい=国民)の父母(ぶも)とあり。

何ぞ憐愍(あわれ)まざらむ」 (同3年6月14日) 「天下(あめのした)とこの歓慶(よろこび)を共にせむ」

(同年9月12日) 「朕、徳を施すこと明らかならず、なお、懈(おこた)り 缺(か)くること有(あ)るか」 (同4年2月21日) 「安不(あんふ)の事、予一人に在り」 (天平2年〈730〉4月16日) 「実(まこと)に朕(わ)が不徳を以(もち)て致す所なり」 (同年7月5日) 「責めは予一人に在り」 (同6年7月12日) 「(地方行政にあたる国司らの)或人(あるひと)は虚事(そらこと)を以て声誉(ほまれ)を求め、或人は公家(おおやけ)を背きて私業(わたくしのなりわい)に向へり。此(これ)に因(よ)りて、比年(このころ)、国内(くぬち)弊(つい)え損(そこな)はれ、百姓困乏(たしな)めり。理(ことわり)然(しか)るべからず」 (同7年閏〈うるう〉11月21日)

「事(こと)成り易(やす)く、心至り難し」 (同15年10月15日) まことに舌足らずな引用ながら、千年以上の歳月を隔てて、なお今上陛下と一貫する精神を、はっきりと感じ取る事が出来るのではあるまいか。

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